投稿日: Feb 05, 2016 1:38:9 AM
ビジネスの流れを革新して効率化を果たすことは、市場が縮小する国内経済においては最重要課題だと思うのだが、日本の複雑な流通の改革から始まって、個々の会社の無駄話の多い会議の効率化に至るまで、なかなか手がついていないのが実情だ。そこで外圧頼みというか黒船論が時々起るが、これがGoogleにしてもAmazon にしても、とても日本の会社が太刀打ちできるものではなく、そのままでは日の丸号は沈没していく。過去を振り返ってもパソコンのOSやアプリから半導体までそのような衰退の道を辿った。
外圧頼みはダメである。すぐには効果が出なくても自分たちの足元から強化・改善をすることしか、ビジネスを立て直すことはできないだろう。しかしそれが難しいのは、自分たちが今日やるべきことと、中期的なITのビジョンが結びつきにくいからだ。
将来を考えるとドキュメントはEPUB化した方がよさそうだが、目下の仕事はPDFで用が足りている。あえてWordの原稿を今すぐEPUBにして保管できるような体制を作り、さらにEPUBからPDFを吐き出す仕掛けを用意して情報提供する、というのは経営者に相当の決断がないとできない。
しかし未来はそのように礎を少しづつ築かないと拓けないのである。今EPUB化が大変に思うとしたら、今までの編集環境に問題があったのに気付かないで今日まで来てしまったということだ。このギャップを感じ取れない経営者は足元の問題に手をつけられない。
だいたいDTPが興った時に、欧米は編集者が自分でDTPをする(とか同じ社内に部署を作る)ようになったのに、日本の出版社はなかなか自分からDTPに手を出すところがなく、デジタルのリソースが社内に溜まらなかった。当然社内のスキルもデジタルには対応できにくかったので、今になってデジタルに対応できる人材が問題という会社はもう手遅れであると思う。
思い出すと、今はイーブックイニシアティブジャパンの会長になった鈴木雄介氏は、小学館で数少ないMac使いとしてDTPもかじり、いろいろやっているうちに社外にも人脈をひろげ、それが新しいビジネスにつながった。小学館は彼を有効には使えなかったわけで、DTPあるいはオンライン編集をまだやっていない出版社には今後どのような未来もないだろう。まだ意欲のある人はスピンアウトして自分で始めるしかない。
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