投稿日: Apr 15, 2014 12:51:30 AM
組織として取り組むべきこと
前職では「新規の事案を一緒にやりませんか」という提案をするのが仕事の主要部分だったので、外部のいろいろな人と話をしたり、根回しをしたり、提案をしていたのだが、それらは無手勝流で何の組織だった背景もなく、経験でやってきたものであったために、若い世代には外部への提案活動がなかなか引き継がれないということがわかった。
外部に提案をしても実際に実行にうつせるものはなかなかないのだが、外部に呼びかけをいろいろすること自体に意味があって、不思議なことに外部からも「一緒にやりませんか」という声掛けが増えてくるのである。それは好都合なものもあるのだが、たとえ的を外れていることでも、提案を受けるということも仕事と思えば得るものはいろいろある。
コンピュータのSIerからの提案が多いのではあるが、だいたいは自分の得意とするソリューションを押し売りに来たようなもので、どこかで使ったパワポに若干手を加えたようなものを持ってくる。SIerの特徴はマーケティングに疎く顧客志向になりきれていないことで、もっと相手の組織やビジネスを勉強してから来い、と言いたくなるものが多く、反面教師でもあった。しかし一部の会社はソリューション営業がちゃんと訓練を受けていることがわかり、その点では大変参考になった。
前職で関係していた中小企業でも提案営業をしているところはそれなりにあったのだが、それは自分が無手勝流でやっていたがごとく、社内に誰か熱心な人がいて、その人の個人技でやっている傾向が強く、組織としてソリューション提案をするための訓練をしようとしていたのはごく一部であった。
自分の経験から個人技ではなく、組織の力として顧客志向の提案ができる能力をつけるべきだと考えて、クロスメディア・エキスパートではマーケティングやロジカルシンキングを重視したITソリューションの育成プログラムを作ろうとした。
このプログラムは、主旨を理解できる層には受け入れられたが、そもそも組織的に提案営業を訓練しようとしていない会社を揺さぶるものではなかった。しかし熱心な個人は自費で勉強する人もいた。そういう人が個人技で新たなビジネス領域を切り開いたあとで、後継者の教育として組織的な訓練を導入することになるのかもしれない。
ただ個人技で提案営業をしている範囲では仕事の規模は知れている。建築でいえばマンションを建てるだけなのか、地域開発のディベロッパーになれるのかのような違いがある。個人技では何十人の会社にはならないだろう。
ベンチャー企業が急成長しても、それを支えていた外部要因に何かの変化が起きると、急に萎んでしまうことがあるが、これも企業家の個人技で経営している限界のようなものを感じる。かといって個人技をマニュアル化すれば他人に伝えられるものでもなく、社風とか企業文化にして定着させるには何十年もかかるものなのである。そういうつもりでソリューション提案の組織的な取り組みもするべきだろう。