投稿日: Jun 05, 2015 1:59:3 AM
日本の漫画雑誌は世界的な評価も受けられるようになった。だから日本の漫画出版社が世界的にビジネス出来ると言えるのだろうか。漫画そのものは世界中で出版されているが、日本の漫画雑誌は造本からして独特であって、その様式は世界に輸出出来るものではないだろう。つまり作者が描くコンテンツと雑誌媒体は不可分なものではなく、雑誌媒体から作者が自立するという過程を経なければ、日本の漫画が本当に世界的なコンテンツになることはないように思う。
なぜか日本の出版社は雑誌の造本の様式を守ってきた。それが仕事だったのかもしれない。中身を作るのは作者で、出版社は様式を作るということなのだろう。今Webやスマホ向けに縦スクロールするフンドシのような漫画があって、これは韓国で発達したものが日本にも持ち込まれている。韓国でそれが生まれたのは広告ベースのポータルサイトがページビューを稼ぐために無料漫画をそういう様式で作らせたからである。広告モデル無料漫画である。
しかし日本の出版社はこういうことには手を出さなかった。あくまでも雑誌の様式を守るのがミッションであったのだろう。MANGABOXでも最終的には紙の漫画本をだすことが狙いになっている。それも従来からのコミック本の体裁であろう。あたかも出版社は新しいメディアを作り出すことには興味がないとか、あるいはそれはやってはいけないことと思っているかのようである。
ところが海外は韓国のWeb漫画のようなネットに限らず、紙の媒体の時からいろいろな形状の漫画がある。イスラム過激派に襲撃された風刺雑誌というのもあった。タブロイド新聞型の漫画もよくある。こういう形状や発行のされ方がいろいろあると、作家にもいろいろな表現の選択肢を与えていることになる。逆に言えば日本の漫画家は形状が異なるメディアへの適応は苦手になっているかもしれない。このことは世界で活躍し辛い要件になるおそれもある。
コミケを良く調べたことはないのだが、既存の日本の漫画雑誌の型を破るような動きはあるのだろうか? イラストの世界は日本の若者も多様なものをつくるようになっているのがpixivで見られたのだが、今後KADOKAWAの元で自由に新たな何かを産み出す方向に行くのか、従来の出版の形式に戻っていくのか、気になるところである。
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