投稿日: Jun 26, 2014 7:34:25 AM
私がレコードを集めているというと、「いったいどんな音楽を聴いているのですか?」という質問が発せられて、「アメリカの黒人大衆音楽の1950年代から70年代くらいまでかな…」と答えると、それっきり音楽の話は終わってしまうことがよくある。説明がうまくできないのである。
一般にはR&Bであったり、Soulであったり、またDiscoMusicとかRAPなど、町でも流れている黒人音楽なら、音楽ファンにはわかるものだが、そういう有名なものではないものとか、日本では発売されなかったもの、ということになると話はつながらないのは当然なのだろう。
何か別の言い方はできないものかと考えると、いわゆるライブハウスのようなところで繰り広げられているもので、黒人社会特有のものということになる。アメリカではライブハウスとはいわないが、clubとかtavernでのライブである。これは黒人が居住している町ならどこにでもあるフツーの店で、昔はjukejointと呼ばれ、記事『もうひとつのアメリカ音楽』で触れている。
そこでどんな音楽がされているのかを上に円グラフにしてみた。やはりその時点で流行っている黒人音楽が主流で、ラジオで流れているようなものをすることが多いが、オールディーズのような古いヒット曲も時折交えている。またそれらの替え歌とか類似のオリジナル曲などをやっている。ということでライブのレパートリーの3分の2は日本人が突然混じりこんでも違和感をもつようなものではない。
しかしそれだけではなく、特に南部では上図の「?」の3分の1ところになる、Bluesとか黒人の口承伝承的なもの、言葉遊びなどからくるR&Bが時々演じられていて、それらはだいたいレコードに録音されることが少なく、かつ地域性が非常に強いアクのあるものである。とはいってもBluesのような様式なら白人にも分かるように、その他のものも黒人間では一般性をもった音楽で、記事『コンテンツは自然に湧き上るもの』記事『ローカルコンテンツはローカルに任せろ』ではChittlin' Musicとして解説している。
これらがレコードになる機会は主にローカルなインディーズレーベルでしかないので、日本では聴けないものであった。そういったレコードが残っていた場所は、clubとかtavernのジュークボックスや、地元のAM放送局であったので、そこから放出された古レコードを探さなければならなかった。とはいっても「?」に相当するレコードは、例えばローカル放送局にあったものの1割あるかないかなので超ロングテールであった。
なぜそのようなものを聴くのかというと、黒人大衆音楽の成立過程を追体験したいからである。そのようなことを50年強やってきたので、自分の中ではあるイメージが浮かんではいるものの、体系的な説明はあまりできずにいるので、ライフワークの課題となっている。
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