投稿日: Mar 25, 2013 1:45:26 AM
ネットメディアは部活レベルだと思う方へ
人や会社にとって、何らかのメディアに取り上げられたり露出することで、有名になったり評価されたと思い込む効果があって、それがメディアで広告ビジネスをする上でも肝になってきた。このことはネットの時代になっても悪いことに受け継がれていて、アクセス数やフォロワ数が増えると有名になったような気がして、PVを稼ぐ何らかのネット上の情報操作でメシが喰っていけるのではないか、という勘違いを産んできた。しかし情報を発信することと、多くの人に見てもらうことと、内容が評価されること、またビジネスが成立することは、それぞれ別のことなので、『情報発信→ビジネス』といいう短絡思考でモノゴトはうまくいかない。
世界的にはソーシャルメディアの利用者が増えて、ソーシャルメディアが社会に影響を持ち得たかのような感覚がもたれるが、日本においてはネット上の言説と非ネットのそれとは乖離していて、選挙結果などをみてもネットの発言力の方がマイノリティである。これはビジネスにおいても同様で、ネットから社会的な大流行が起きる状態ではない。
これは日本は戦後さまざまなメディアが自由闊達に発展してきて社会の隅々にゆきわたっているからで、むしろそうではなかった韓国や中国の方がネットメディアによって自由闊達な情報流通ができるようになったということである。だから日本は先に発達したアナログメディアがはびこっていて、ネットメディアの率直な伸びを抑えているといえる。日本のネットメディアの課題は、単なる情報到達率とかオーディエンス数ではアナログメディアにかなわないところがあるので、ネットメディアは何らかアナログメディアよりも優れた点を理解してもらわないと伸びないということである。
つまり日本において紙で情報発信をするのはコスト的に大変だから、ネットで気楽に情報発信しようという程度の志では、ネットの情報は紙媒体に質には勝てない。これがいくら紙の二流・亜流メディアをネットで作っても定着しない理由である。むしろ紙メディアではできなかった分野やサービスの仕方というのがネットの課題であるとすると、そこは世界的に見ても取り組むべき価値がある分野だろう。そのためには単純なメディア神話は捨てなければならない。
残念なことは、ブログのアフィリエイトや広告でメシを喰うような話がいつまでたっても話題になっていて、それ以上の努力をしているところがあまり紹介されていない点である。またネットの中で部活レベルのことをしている人が実社会をあまりよく知らないということもある。特にソーシャルメディアは、ネット上のバーチャルな付き合いをする場ではなく、リアルな人の絆の補完的な利用ができる点から、従来の一方通行で数が支配する相手の顔が見えないメディアの発想ではなく、顔が見えて数よりも関係の深化を目指す使い方ができる。
ネットのメディアで『メディアごっこ』にしか見えないものは、ネットの特質を踏まえないで、既存メディアの真似っこで一喜一憂している場合が多いのである。