投稿日: Dec 11, 2015 1:10:17 AM
紙か電子か、アナログかデジタルか、Webかスマホか、などメディアの比較というのはいつも行われるのだが、そこで相手には無い特質を対比させても実はあまり意味のない議論になりがちだ。紙はデバイスが要らないが、電子はデバイスと電源が必要であるとか、当たり前のことをいっているわけで、これが決定的な分岐点になったことはあまりなかったように思う。過去には紙媒体を利用していた分野が次々にデジタルメディアに変わりつつあるのが現在だが、どういう時にそれが起こるのかというのはなかなか言い難い。
一番目立つのはメディアの表現力の違いなのだが、それは一見してわかることで、競争要因にすらならない場合が多い。逆に一番目立たないのがそのメディアの管理コストの差であって、そもそも紙媒体で有効性や利用面のコスト管理をあまりしてこなかった場合が多いので、デジタルメディアでログが採れますとかいっても、紙の場合とどう対比していいか分かりにくい。むしろデジタルの方が管理コストがかかっているように思えてしまうことさえある。
企業の倉庫には古い伝票やカタログ・マニュアルがまだ梱包を解かない状態でいろいろ残っていて、時々大掃除で廃棄しているという光景をみるが、ここからは紙媒体は利用管理が行き届いていないことがよくわかる。しかしコストをかけてまで紙媒体の管理をしようとしなかったのは、紙媒体がどのように配布され閲覧されているかを知る由がなかったからで、紙媒体の効果を高めるPDCAは難題であった。つまりPDCAはあまりまわしてこれなかった。
記事『アクセスの伸びないホームページ』では、編集長が電車内でマーケティングをしていたことを書いたが、それとは対照的にメディア利用に関しては、それが有料であろうと無料であろうとPDCAをまわしてコミュニケーション向上を図るのがデジタルメディアなのである。
しかし現実はまだデジタルサイネージでも紙のポスターと大差ない掲示しっぱなしの使われ方が多く、デジタルメディアの試行錯誤はあまりされていない気がする。それは情報発信者がPDCAをまわす意識が足りないからだと思う。デジタルになってどういうコンテンツを何時どれだけ掲示したか、その時のPOS売り上げはどうだったか、などは全てトレースできるはずなのだが、いちいちそういうデータの突合せをしている現場はどれくらいあるのだろうか?
全商品に関して分析を即座にする必要はないのだが、新製品などは立ち上がり期においては、素早いPDCAが大きな競争力になる。
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