投稿日: May 26, 2012 1:39:49 AM
存在感がうすいと思う方へ
iPodが普及するよりも数年前の前世紀末に韓国でmpmanが生まれたことは、記事『課題はライフスタイルを発明すること』でちょっと触れた。最初はあまりにも記憶容量が少なくてどうかと思ったが、今世紀に入ってスマメに外部保存できるものができて本格的に使い出した。それでも内部記憶はCDで1枚分くらいしかなかった。mpmanを使うのはCDのRippingデータをネットでファイル共有するというアンダーグラウンドな世界のように思われていたが、mpmanは録音機能があって、アナログ信号を内部でmp3にエンコーディングできたので、CDのアナログ出力やアナログレコードを音源にして使われることが多かったと思う。私はアナログレコードを一部屋もっているので、そのデジタル化に挑戦しようと思った。
しかしmpmanでエンコーディングするのは操作性が悪かった。今でも携帯音楽プレーヤのような小さいものは、キーボードを叩く様には操作できなくて誤操作が多くなり、かえって時間がかかってしまう。しかもmpman内部のエンコーダーは機能が「??」なこともあって、音楽アーカイブ用のサーバをたててPCでwave保存するように変えていった。いくらmp3で保存しても音量・ダイナミックレンジ・その他処理が必要になるので、結局汎用なwaveフォーマットが一番作業効率がよいからである。これはテキストデータでも画像データでも同じであって、おそらくコンテンツのキャプチャ・編集・データ管理の方法はメディアと関係なく統一的な何かができてくるだろうと思われる。
私がデジタル化する対象はCDでは発売される見込みのない音源である。またほとんどはLPにも収録されなくて45回転コレクターの間でしか流通しないもので、しかも記事『コンテンツは自然に湧き上るもの』に書いたアメリカ黒人のChitlinミュージックなので、家族も興味がなく聞かない。このような作業を10年強にわたって行なって何万曲がハードディスクの中にあるのだが、そのことは家族は知らない。デジタルの恐ろしさだと思うのは、本人が居なくなったらこれらは一瞬にして無きものになることだ。電子書籍でどんな貴重な情報があろうとも、興味のない人には存在がわからなく、当然引き継がれない。私が聴いているのはCD1000枚作っても世界中でさばけないくらいのマーケットなのでCD化されないわけだから、なかなか同好の人に伝えにくい。
そこで何とか残す方法はないかと考えて、やはり形あるものにすべきであると思った。デジタル化したものをリマスターして品質チェックを兼ねながら60分くらいのplaylistを毎月作成していった。バックアップとしてCD-Rに取るにも通勤の片道で聞くにも60分というのはちょうどよかったからである。その結果playlistのCDが100枚以上できたから、紙のジャケットも作ってジュェルケースに入れてCDライブラリーにしようかと思ったが、紙とケースとCDの3部品を管理するのは結構大変で、将来それらがうまく管理されないでバラバラになったときに、パッと見て認識できるのは印刷された紙ジャケットのみで、CD盤の方は関心がいきにくいだろうなと思う。
つまりプリントされて見える形になったものが再度拾われるコンテンツになるのではないかと思い、CD盤面プリントで存在感を出すようにした。まずは家族にそういった音源があることと「これは捨てないでね」ということを理解してもらわねばならない。