投稿日: Aug 23, 2012 12:47:4 AM
日本の開発がピント外れになりつつあると思う方へ
家庭内LANにサーバーを増設しなければならないので、USB接続のHDDを使うNASを3000円ほどで香港から購入した。意外にちっちゃいので中身がどうなっているのかを開けて写真にとった。このNASはSambaとして働き、FTPとかBitTorrentのダウンロードなどにも対応している。当然USB接続でプリントサーバになる。写真(拡大可能)の大きいほうの黒四角チップがCPUとUSBやLANのコントローラが含まれている。右の小さな四角がDRAMである。2年前に買った中華タブレットよりも部品数は少なく進んでいる。これを見て思いついたのは、TVに挿すとAndoroidになるUSBに内蔵のPCである。言い換えるとUSBメモリくらいの大きさにAndroidを動かすPCが入っているのは、こういった部品で出来上がっているだろうと思って、もうちょっと調べてみた。
このNASにはメーカー名がなく、従ってサポートWebサイトもない。マニュアルは繁体字でかかれていて、NAS設定画面も中国語である。簡体字にもなるようだが、繁体字だと何とか読解できる。手がかりはチップ上にしかなく、調べてみると台湾のStarSemiconductorが作ったARM9ベースのシステム・オン・チップである。そのダイアグラム(チップの機能が黄色部分:クリックで拡大)が下の図である。
Star社はアメリカ西海岸のCAVIUM NETWORKS という(ハイエンド?)ネットワークシステムの会社に買収されていて、そこで家庭やビジネスの場でのネットワーク機器をシステム・オン・チップ化する設計をしている。最新のものはARM11ベースのデュアルコアに周辺のコントローラを組み込んで1ワット以下という上記チップの進化系で、これらがUSB内蔵PCとか、35ドルPCなどに使われていると思われる。このクラスになるとスマホと同クラスになるし、こういった技術がスマホ・タブレット・読書端末のようなモバイルだけでなく、いろいろなところに組み込まれていくところにCAVIUM NETWORKS社はビジネスを見出そうとしている。
しかしこういったシステム・オン・チップ設計技術がすでに台湾や韓国にあり、アメリカの企業が資金を出すほどに技術力が上がってきているということをよく考えなければならない。こういうチップを使うための開発キットも香港では1万円くらいで売られていて、個人でも参入できる。日本でも工学部の実習に使われるところはあると思う。
こういったことが日本の電気メーカーにはできなくて台湾や韓国で発達したのは、彼らはどこかと一緒に開発しないと最終製品にはならないので、オープンなビジネスを指向していたからであって、最終製品までを自社で完結しようという日本古来の方法は進化が遅く、1周遅れになってしまったといえる。