投稿日: Oct 08, 2012 12:46:24 AM
敗者復活戦も必要と思う方へ
最近SecondLifeはどうなったという人が時々いる。昨年チェックしたときにはまだ10万人くらいが登録していて、ほぼゴーストタウン化しつつも残っていた。そのうち猿の惑星のようになってしまうのだろうか? 一方で日本ではサイバーエージェントの『アメーバピグ』が提供する仮想現実コミュニケーションは1000万とかになっているのだろう。SecondLifeのコンセプトはほぼ正しかったといえるが、技術面や運営面では先走りしすぎて失敗したのに、チャットとかゲームとか利用者のデジタルリテラシーの延長上に仮想現実空間を置いたものが成功している。いわばSecondLifeは頭デッカチで、理屈抜きのアメーバピグの方がポピュラリティを得たということだ。
投資家を募るには革新的な技術や運営をひけらかした方がインパクトがあるのだろうが、それに大衆が反応してくれないことはよくあることだ。そうして潰れた革新的プロジェクトは多く、そのコンセプトをうまく培養・成長させた『秀吉・家康』型の後継者がビジネスを成功させていく。つまり組織面から考えると先鋭な先導集団とは別に戦術に長けた狸集団の組み合わせを作ることが必要なのだろう。これを一人の経営者が行って巨大企業を形成させる例は10年間で考えても何社もなく、多くの先導集団は狸集団に高額で買い取られていくような仕組みができているのがアメリカであるといえる。
日本人でもノーベル賞受賞者がそれなりに居るように、今後はITメディアにおいても先導集団が出てくると思われるが、日本には彼らを高額で買い取って培養・成長させるところが心もとない。それで今は日本の先導集団もアメリカ西海岸に行かざるを得なくなっている。そこは世界中から同じような企業が集まっているところで、アメリカの資本家の側から見るとオーディションとか選抜をする場所になっている。今はインド勢が大挙して押しかけているが、中国勢も増えてきた。ここで勝ち残って世界に一流のサービスを提供できればいいが、日本から出かけた皆がそうなるわけにはいかないだろうから、その次にどのような出直し戦をするのかも考えておいた方がいいだろう。
facebookが日本のmixiを始め各地で根付いていたSNSを蹴散らして世界に君臨しているようなユニバーサルなサービスを日本人ができないとしても、メディアという文化的な領域においては自分の居場所をみつけることはできる。例えば世界どこでも通用するディズニーに対して、世界からはオタク・サブカルと見られる日本のマンガがあるような関係で、ユニバーサルサービスとは一味違うことを指向することになろう。mixiも今になってガラパゴスなことを試みようとしているが、アイディアが2流になってしまったら遅すぎである。電子書籍もコンセプトとして何も先進的なところがなく、単に仕様だけガラパゴスにしても勝てるわけがない。まあガラパゴスという言い方はもうしないで、ニッチな天国のようなものを目指したらいいのではないか。
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