投稿日: Mar 23, 2016 12:12:19 AM
もう3月下旬なのでNHKの人気朝ドラマ「あさがきた」も終わろうとしている。ちゃんとみていたわけではないが、再放送だとかダイジェストだとかをよくやっているので、大体の筋はつかんでいる。物語の下敷きとなった史実の方も関連会社・学校のホームページなどに載っているので、ざっと目を通してみた。主人公あさは不屈の精神で何度もの経済危機を乗り越えながら、大阪の店を全国的な生保会社にするところまできている。一人娘も家柄の良い帝大生との縁談が進んでいる。こういう状況からすると、幕末から大正まで明治を生きぬいたあさの一生はハッピーエンドのように予測できる。
しかし史実の方では、あさの死後10年でこの母屋である銀行は破たんする。他の人が発案した生保の会社は今に引き継がれている。学校も当然別の人が発案したものであったが今日に引き継がれている。今までの放送で主に扱われていたのは銀行だった。学校に関しては意外にあっさりとしか触れていなかった。大学用地に親の地所を提供したとか寄付を集めたくらいの関わりしか描かれていない。放映前は女子大学があさの功績の一番かと思っていたのが違ったのかもしれない。
これは史実をヒントに作った物語だから、シナリオに文句を言う筋合いはないのだが、では主人公の日常のふるまい以外に何か描きたいものがあったのかどうかは疑問に思ってしまう。人はどう感じたのかしらないが、大阪商人ということで人間の一生がビジネスに翻弄されている印象が強かった。そしてどれだけ才覚があったとしても、それを後の世代に継承することは非常に難しい。関西の人間としてはサンヨーやシャープの没落というのも重なってくる。商工会議所レベルではどうにもならない問題は、もっと上の行政レベルなどで救ってやらなければならないのだろうが、そういったことができる人材が日本には未だに居ないということだろう。
話しは変わって、「あさがきた」も「ちかえもん」もキャスティングが非常によかったように思う。それらの中でもあさの娘千代役は顔は特別なことは無いけれども、今後非常に優れた女優さんになるように感じた。この小芝風花という人もあさ役のオーディションに応募したようだが、主人公はとれずに娘役にまわって、かえって女優としての持ち味がでたのではないかと思う。あさ役はサッパリ感がメインになるので人間味はあまり必要ないかもしれないが、娘役の方が複雑な心境を表さなければならないので人間味を演じる必要がある。それにおいては100点をあげてもよい女優さんに思えた。
まあドラマを楽しむなら、あまりビジネスのことなど考えるのは野暮なのだろう。
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