投稿日: Mar 14, 2014 12:9:22 AM
査読はcrowd型に向かっている
世間が大騒ぎしたSTAP論文問題はNatureに論文を出すのは時期尚早なだけではなく、理研に入る前の博士論文も勇み足であったように思える。だから博士論文の査読や審査が緩いのではないかという話があるが、簡単にどうすればよいとは言い難い問題がある。それは困ったことばかりではなく、今回の騒ぎでよい方向も見え始めているように思える。
まず論文の中に他のドキュメントからのコピー・ペーストが増えたことは世界的なことで、とりわけWebからとってくるものが多いのは、それだけWebのドキュメントが扱い易いことを示していて、そもそも参照されやすいからコピーされやすくなるのであろう。
だから本人がコピペしたのを他人が調べるのも容易で、海外ではコピペの有無を検索するツールも発達していると聞く。これは学生の不正レポート云々の問題だけでなく、本人がネットで調べ物をする程度のことは、読者もするということである。もしその論文に人が関心をもった場合の話であるが。
査読の際にコピペで文体が異なるとかオヤと思うことはあるだろうが、その時は引用があるならばちゃんと明記しなさいと伝えればよい。だいたい論文の査読の時にコピペをチェックしなければならない義務はそもそもないという。それは論文を書く際のリテラシーの問題で、そんな論文の作り方をしないようにあらかじめ指導されていることが前提であるからである。冒頭の博士論文騒ぎに関してはそこがどうだったのかを確認する必要がある。
また英文で書かれた論文の査読ができる先生が少なすぎるとも言われている。つまり英文の内容がわかったとしても、ネイティブスピーカーのように英文の文体の違いを見出すレベルにはなかなかいかない。一方で研究者の方は英文で論文を書くケースがどんどん増えている。中国も韓国もそうだからである。
しかし英語の場合は前述のコピペ検索ツールがあったり、そもそも英文を読む研究者が多いので、人々が関心を持つ内容ならば、本人が校正する以上に他人が内容を丹念にチェックしてくれる。だからい今回のNatureの論文の件も海外から疑問をもたれたのだ。
しかも博士論文の写真と似ているとか、ネット環境のおかげで1か月もたたないうちにいろんなことが判明するものだなと感心した。
こうなると論文の発表の仕方も公開プレビューにしてしまったらどうかと思うほどである。