投稿日: Nov 26, 2010 10:58:39 PM
戦コンはもう古いと思う方へ
何年か前に「プリントマネジメント」というビジネスが話題になって、日本でもいくつか始めたコンサルタントがいた。商社でも手がけたところもある。これは企業が支出する年間何十億円かの印刷代を1割カットするから成果報酬として1億円だせ、みたいな仕事で、いわば印刷の発注の無駄を分析して仕分けをするのと、実際に制作・購入のマネジメントをするものである。主に外資系の企業が採用して、国内にはそれほど広がらなかった。その理由は単純で、コンサルタントに頼まなくても国内の印刷需要が減っていったからである。欧米でも「プリントマネジメント」はあまり話題にならなくなった。それは企業が使うメディアはデジタルのものが増えて、本当にトータルな「メディアマネジメント」が必要な時代にきている。
またこれはコンサルタントの側にも難しい時代であるといえる。企業の業務プロセスを分析して業務効率化とか最適化を提案するコンサルタントは多いが、企業内データを「分析」する対象は過去から現在までのものであるので、これから何が起ころうとしているかは入らない。だから企業の業務プロセスが変わらない間は分析結果が使えるにしても、プロセスそのものを再考しなければならない場合はご破算になる。例えばECやeBusinessのように顧客とのコミュニケーションの土台が変わると、それがなかった時代の業務データは分析しても意味が無い。つまり分析にコストをどれだけかけるべきか、他にすべきことはないか、という判断が重要である。
しかしプリントマネジメントだけでなく、ITで業務プロセスがかわるところはどんどん出てくる。従来のコンピューティングのかなりの部分はクラウドを使ったアプリケーションになっていくからだ。地方自治体が個別にコンピュータシステムを構築して行っている行政サービスも、本来なら自治省がクラウド化すればどれだけ税金が助かって利用者の利便性が高まるか想像してもらいたい。メディアに関していうと、これから壊されるべき既存のビジネスプロセスとは、印刷とかアナログのものではなく、10年前に不十分なダウンサイジングの状態で構築したWebメディアなどであって、大変な運用コストがかかっているのに、今日のマッシュアップなどネットの技術が生きないで、フレキシビリティに欠けるマスメディア系の情報サービスだろう。クラウド化しなければ滅びると断言できる。
また簡便にPCサーバで始めて徐々にサーバ数が増えて複雑化したWebメディアもクラウド化の課題がある。クラウド化に際しては、Webを店舗と考えると、イントラとかバックヤードの側を業務改善して、自動的にWebに反映するような仕組みに切り替えることが重要で、今までイントラとWebとを分けていたことによる煩雑さはこの際に解決できそうだ。しかしながらこういったところに切り込めるコンサルタントはそんなにいないように思える。それはAmazonやGoogle、eBay、…などなどが自分のビジネスのためにどのような仕組みを持っているか、また外部にどのようなサービスを提供しているか、という戦略的クラウド利用を勉強していないからである。
戦略コンサルタントはもういい、という話もあるが、それはITバブル便乗みたいな過去の戦略安売りがダメなだけで、IT化で避けて通れないクラウドに向けた戦略コンサルタントはこれからの仕事であろう。