投稿日: Oct 28, 2011 3:10:37 AM
もたれあいでは強くなれないと思う方へ
科学技術は各土地の文化を超えた普遍的なものなので、アフリカでも携帯電話が普及するように、地球規模の広がりをみせる。しかし文化は過去の営みの蓄積の上にあるもので、それぞれの土地の歴史や風土による「超えられない」違いがある。実際のビジネスは文明と文化の両方にそれぞれの足を置いている。このバランスがとれていると社会は円滑に動くが、イスラムのように伝統文化が現代文明を否定する要素が強いと、社会の中にいろいろな歪が生ずる。女性に教育を受けさせないとか職業を規制するというのは我々からみると差別なのだが、働きに応じて賃金を払うことで女性雇用を増やすことは伝統的な生活スタイルの破壊と考える人もいる。
欧米から見ると日本の現在も異常だと思われることがきっといろいろあるだろう。印刷物の製作過程がデジタル化してPDFを作るようになった前世紀末から、持ち運べるタブレット型リーダを使うeBookというのは始まり、ネットが何処でも使えるようになってコンテンツが配信方式になって、すでに10年以上が経っていて、中国は本作りとeBookはすっかり同期した動きになっているし、韓国も日本と変わらない数のタブレットが普及してデジタルマンガもみられている。もし今ハリーポッターのようなベストセラーが現れたら、世界の人はeBookで読み始める人も多く出てくるだろう。しかし日本は版権を押さえるのが出版社なら、電子書籍に何らかのハンディを負わせるかもしれない。
紙の本の製作や流通には多くの会社が関わって役割分担をしているので、そのステークホルダ達の利害に抵触することを勝手に行うと、今までのビジネスに何らかの影響が出やすくなる。新聞を創刊しようとすると製紙会社に圧力がかけられて紙の供給邪魔するようなことをしていると、意欲的な会社の新規参入はなくなるので、新聞業界全体が活力を失っていくような負のスパイラルに陥る。しかしネットならメディア作りや情報発信を邪魔するものはいない。Amazonが知らないうちに紀伊国屋を超えてしまったように、日本のメディアの世界もそのうち成功者が出てくるだろう。しかしチャンスがあることとビジネスのやりやすさは別であって、ステークホルダがいっぱい絡みあって固定したビジネスのモデルやフローが出来上がっている方が、無駄な努力なしにビジネスができるのである。
つまり本屋もコンビにも店舗自体ではマーケティングをしなくても最小人数で営業はできるが、現状以上に店舗独自でビジネスを伸ばすのは至難の技だ。一方ネットでお店を出しても誰も協力者はいないが、工夫次第では大きく化けることもありえる。ネットで伸びたショップというのは殆ど創業者個人の努力や才覚に支えられている。だから勉強熱心な人で、自分でやってみて、失敗からも学ぶような人が多い。つまり携わる人の裸の実力が問われるのがECであり、それはステークホルダに囲われている人から見ると厳し過ぎるものなのなのかもしれない。このようなECがeBookの流通にも近づいてきているといえる。