投稿日: Nov 23, 2010 10:24:30 PM
Facebookは他のSNSと何が違うかと思う方へ
電子書籍の衝撃とか、何々の衝撃という本が時々出るが、そろそろ「Facebookの衝撃」も出ているかもしれない。とりわけ2010年のITメディアのトップニュースはFacebookであり、記事『メディアはすでに崩壊している』で利用者5億人という前例の無い記録のことをとりあげたが、さまざまな「前例の無い」ことを成し遂げた。このような急速な拡大を可能にした背景は安価にクラウド・データセンタが利用できるアメリカの事情もあり、システムの運営管理が成長の足を引張ることがなくなったこともある。Facebook自身もデータセンター建設に向かったが、これからのサービスの充実に向けての布石であろう。これはAppleがデータセンタ建設をしたことにも通じていて、勝ち残り組がコスト競争力をつける手を打っていると考えられる。つまり、ビジネスモデル→リーチ→サービス充実→コスト削減、というところまで動いていることがわかる。
ビジネスモデルという点では、最初からどれだけ考えていたのか知らないが、アメリカのディスプレイ広告の4分の1ほどがFacebookに集中するということが起こった。これは2位のYahooの倍以上で、インターネット広告を押し上げた要因である。しかしこれはYahooが以前検索エンジンでマッチングする広告などのアルゴリズムを開発してITで新しい広告を開拓しようとしていたのとは正反対に、利用者の個人属性に基づいたものであるので大変判りやすく使いやすいものとなったからである。
2010年はサイトの滞在時間に関して、アメリカではFacebook利用がGoogleを超え、Yahooも超えている。しかもアメリカ人の半分が使っているほどなので、マーケティング的には人口統計上で成人のどの区分もリーチできる最強のプラットフォームである。これは実名の個人属性の(自己申告ではあるが)factをベースにしているので、誰が考えても不確かなマッチングアルゴリズムを超える。しかも広告を出そうとしている人からはターゲットを絞りやすいインタフェースがある。個人が広告をする場合は大抵は狭い対象になるが、インタフェース画面にはだいたい対象人数が表示されるので、キーワードをいろいろ変えながらマーケティングの勉強ができるようなものである。
Facebookはガンガン広告モデルを押してきたわけではないが、今は企業の広告の対象として話題にされることが多いと思う。しかしもう一方には、アメリカの新聞日曜版に100ページもあった案内広告がFacebookの対象になるであろう。この分野は現在Craigslistというソーシャルメディアが勝ち組であるが、それとは別のアプローチがFacebookでは出てくる可能性がある。例えばモノの売買ではない広告が可能になるであろう。2008年にFacebookの日本版がランチした際に、日本語化が一般ユーザのボランティアでなされた。翻訳やテープ起こしを商売ベースでするだけでなく、非営利のコラボレーションを呼びかけたりするツールとしてもFacebookは役割を果たすだろう。
Facebookは実名でリアルな世界での人間関係に重きを置いている(最初から恋愛対象…があるように)ので、バーチャルで何でも出来ると考えるデジタルメディアとは一線を画する発展をするであろうし、これからはリアル世界に効果をどう出せるかがFacebookの課題になるだろう。