投稿日: Mar 25, 2015 1:2:48 AM
前職で組版関係の仕事もかなりしていたので、いわゆる「オックスフォード ルール」とか「シカゴ マニュアル」も手元に置いていた。両社は性格が異なっており、オックスフォードは薄くて原則的な感じで、シカゴは子細なこともいろいろあった。オックスフォードはしばしば改訂されて、いつまで続いたのか忘れたが、30年前はまだ活版時代の組版をベースに考えた部分も残っていた。オックスフォードの主旨は著者と読者の間の約束事として、分数の「4分の3」は、3/4 と表記してもよい、というような調子であった。シカゴの方は著者が著述の際に迷う事柄を、野球のルールブックのように積み上げていったもののように感じた。
これらは大学の出版局が出した表記や組版のガイドであるが、他の大学や出版社でもいわゆる「ハウスルール」を決めているところがあり、日本でもこれほどまとまってはいないが小冊子を用意している出版社はあった。編集者の学校である日本エディタスクールでは岩波の方が執筆した教材を使って、こういう内容を教えていて、前職のようなところでは未経験の編集者をそこで学ばせていた。
しかしこういったルールに「絶対」というものはなく、文書の利用分野によって表現統一をしなければならないところが異なるので、サブルールのようなものが作られていく。例えば公文書では上からの命令的な内容なら文体が「である体」、お願いするような内容なら「ます体」という感じで、文書ごとに取り決めがある。
項番のつけかたも、第1章、第1節、1 (1) ① ア a (a) という和洋折衷のブレイクダウンをする、分かりやすいのか、解り難いのか、何だか不思議なもので、ISO表記とは異なっている。
少なくとも文章作成に於いて、それが掲載される媒体のルールに沿っていない箇所は赤字になるわけで、誰か何処かのコスト要因になる。今企業がコンプライアンスで文書作成をする場合は公文書や法律文書の入り混じったようなものであったり、マニュアルを作る場合はISO式であったりと、結構場当たりな状態になっていると思う。
こういう文書の整理法が揺れていることは、すでに文書の作成の最初から電子的な方法になったにも関わらず、電子的な編集方法の発達を阻害しているといえる。むしろWordでも他の文書システムでも自動で項番が管理できるような方法に合わせて「ハウスルール」を作り直す方が合理的であろうと思う。
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