投稿日: Sep 15, 2012 12:38:49 AM
TVはどのように変わるかと思う方へ
TVの視聴形態が変わるか変わらないかというのは、新聞が存続するか無くなるかというのに近い面がある。ニュースは新聞紙の上に文字を並べなくても他に知る方法はいくらでもある。しかし朝に新聞受けに取りにいって、コーヒーを飲みながらニュースのザッピングをし、パンを食べながらチラシをめくるような日常生活とか、経済紙を持って出勤途中に眺めるという生活習慣をなかなか変えない人がいるので、早朝に新聞を配るサービスが成り立っている。つまりマスメディアはコンテンツの内容によって選択されているのではなく、習慣化して存続するのが強みである。特に生活者が能動的に何もしなくても情報が与えられるようなサービスが習慣を持続させている理由だろう。
今でもこういった情報のパッケージングサービスを利用しないで、自分で毎日の情報を探し回ることで事が足りるし、スマホ・タブレットの時代にそれが拡大しそうな話は散々あるのだが、実際にGoogleNewsなどをそこらへんのオッサン・オバチャンが使うようにはなっていないことから分かるように、元々能動的に情報取得をしていた人がネットでも能動的に行動しているだけで、大衆的な生活習慣には入りにくい。ネットを使う人は、新聞では1日2回、TVなら休憩時間を利用して1日数回くらいの情報更新しかできなかったのが、常時情報更新できることに価値を見出している。例えば天候変化とか株価とかオークションの締め切りとかはネットがなければ知ることができない。
大衆がスマホでどのようなニュースを見ているか、あるいはニュースはどのように拡散されれているかを観察すると、結局はスポーツ新聞とか3面記事が中心で、これらが即時流れるようになっても為らなくても世の中に殆ど影響を与えない。例えばスマホでSNSを使って有権者の投票行動が変わったということは日本では起き難い。山口県知事選では反原発の候補が善戦したが、その人の得票数がtwitterのフォロワ数と同じようであった。ところが保守の当選者はtwitterのフォロワが数十であった。この現象も能動的な人がさらに能動的になることの現われで、受動的な人にネットのサービスはまだ到達していないのである。ところがアメリカではオバマさんでも茶会でもSNSが有権者全般に行き渡るようになったことを利用しようとしている。
TV産業というとTV局から受像機製造まで幅広い会社の集まりだが、それに加えてAppleやGoogleというIT勢も加わって、ネットと電波を組み合わせたSmartTVを次世代の家庭における情報センターにしようとしている。それは既にネットで能動的に行動している人が対象ではなく、従来の受動的大衆を対象にしたサービスであろう。緩い双方向サービスはデジタル放送としていろいろ検討されたが滅んだに等しい。リモコンにボタンを追加し続けてきた日本の家電業は世界に通用しなくなった。日本でユーザインタフェースを発達させられたのはゲームメーカーしかない。その延長上のSmartTVを日本が開発する可能性はある。旧媒体もゲームも含めて家庭内でどんなことをしているかの習慣は国によって異なるので、SmartTVの答は一つではなく、そういうバリエーションを包含するOSが必要になろう。