投稿日: Sep 20, 2011 11:11:21 PM
ソーシャルメディアに欠けているところがあると思う方へ
インターネット上の記事見出しで比較するとBillGatesの記事よりもSteveJobsの記事の方が圧倒的に多いだろうし、賞賛のされかたもSteveJobsの方が強烈である。しかし実際の功績評価をするとどうなるだろうか?コストコンピュータやミニコン・ワークステーションを倒したのはMicrosoftとIntelであるし、人々のITリテラシーという点での貢献もほとんどはWintelに寄っている。日本はMacファンが多かった国なので、発展途上国に行くとまるでMacの存在が知られていないようなコンピュータ利用になっていることに驚かされることがある。またAppleは優れた製品デザインをしてはいても、発明はしていないし、生産もしていない。要するにAppleの功績はある一点に集中していることがわかるが、サイレントマジョリティにとってはそのことはどうでもよい。
原発推進・反原発でも嫌韓嫌中でも、極端な話は話題になるが、サイレントマジョリティの意識がどこにあるのかは非常にわかりにくい。しかしマーケティングをしていく点でターゲットとなる最も重要なのは極端な意見ではなく、まだどっちつかずの人の意識がどうなっているかであって、選挙の際には世論調査によって当選の予測が相当できるようになったように、こういった情報収集分析技術が次第にビジネス領域にも波及しつつあるのが今日である。今日の「ソーシャルメディアでマーケティングを」の内実は広告媒体としか見ていないものであったりするが、その先に自然言語処理を使った意識分析が始まる。
つまりコミュニケーションのためにメディアを使って言いたいことを広めることを20世紀には行ってきたのだが、そのメッセージを聞き手がどのように受け取っているのかを知って、その意識に合わせて次の情報発信をしていくような、コミュニケーションのPDCAをまわす時代に差しかかっている。情報発信をしたい人にはそれぞれの思いがあって力説をするのだが、いろんな発言や説やアプローチを俯瞰的に捉えて、サイレントマジョリティの意識の動きを、まるで天気図のようにリアルタイムで可視化していこうという試みがある。このBlog内で「世論調査」「BigData」「データルネッサンス」などで検索するとtwittersentimentなど過去の記事があるが、日本のソーシャルテクノロジーを話題にする人はあまり関心がないのかもしれない。
選挙の場合は放送局の番組制作費で調査をしているのだろうが、こういったことをまるでWikipediaのようにボランティアの寄り合いで、ソーシャルメディアの書き込みを分析してサイレントマジョリティの意識のリアルタイムな可視化ができるようになる可能性がある。ネット上の書き込みではものすごく盛り上がっているとか炎上しているように見えても、実はほんの少数が膨大に書き込んでいる場合もあって、分析して寄せて1個人の意識がどうであるかというデータにしてしまうとわずかの情報であって、また極端な意見だと切り捨てることになるので、実は影響力はないこともある。企業のソーシャルメディア対策もニュースや代理店に動かされているだけで本気で考えていないので、有益なものにはならないし未だ全然投資も進展もないというレベルである。広告や広報というところからソーシャルメディアの次のブレイクは期待できないような気がする。