投稿日: Aug 06, 2014 11:53:13 PM
最近よく聞く、印刷物にスマホをかざすと動画が出てくるようなARは、印刷物など使わずに最初からネット動画にしてしまう方がよいのではないかということを、記事『 ARの行方』で書いた。今のところこれらは販促目的で使われることが多いようなので、ARがビジネスになるというよりは、すでに販促ビジネスをしている人の助けになるかどうかに普及がかかっていると思う。つまり販促ではすでに動画を扱っているし、印刷物も作っているから、純粋にAR導入にかかる負担はライセンスなり利用料だけになるからである。
もし印刷物は扱っているが動画はまだやっていないとか、トータルな販促はやっていないところがAR導入をしようとしても、ARの費用よりも多くの負担を抱えることになってしまって、おそらくペイするのは難しいだろう。だからペイはしなくても、印刷物の価値がARで高まればよいという考えもある。しかしスマホの利用とか動画の方が印刷物の価値よりも高くなってしまったり、さらにARでは商品現物や既存の看板・光景がマーカーとして使えることで、かえって印刷物がなくてもよい局面も広がるのである。
印刷物の価値を上回るというのは、例えば使用している機械に不具合が起こって、そのことをサービスマンに連絡するのに、なんという部位のなんという部品なのかという名称を知りたい場合に、印刷物のマニュアルならページをめくって該当する部品を探さなければならないが、スマホでARで検索できるものであるならば、現物を撮ってその画像認識から名称を得られるし、スマホでそのままサービスマンに情報を送ることもできる。
つまり紙のサービスマニュアルを大幅に削減できる可能性が出てくる。こういう用途はいたるところにある。シャンデリアの電球が切れた場合に、なんという電球なのかわからなかったりするが、画像認識で探し当ててオーダーできると、分厚い紙のカタログを置いておく必要はない。
だから紙のカタログを制作する段階で商品画像を撮っているのをマーカーにして、オーダーシステムに結びつけるような開発がされるようになるだろうし、それはAR技術よりもよっぽどお金になるサービスだろう。ARをトリガとしてビジネスを発展させられる可能性はあるが、それは今更どこも目新しい要素の無いものである。
前記事ではさらっと企画力が必要と書いたが、それは「スキーム」「アプリ」「コンテンツ」の3方面の企画力が必要なのである。スキームは販促・ECの流れをどう改善するかであるし、アプリは使い勝手や面白さの部分であり、コンテンツは動画やランディングページなどの表現物に関することである。
これら、スキーム・アプリ・コンテンツは1社でまかなわないで複数社のコラボレーションという場合が多いであろう。でも全体の音頭を取る会社が必要で、そういうプロデュース・ディレクションの能力のあるところが求められるのだろう。
Top → Articles デジタルメディアビジネスの記事 過去記事→Archive