投稿日: Apr 02, 2015 1:8:11 AM
過去から現在まで新たな事業やイベントの企画提案に関ることは多かった。若いうちは自分がしたいことを上層部に提案する立場だったので、実現するのは自分であって、最終的に周囲の支援が無くなっても自分さえ頑張ればなんとかなるように企画提案を考えていた。それが次第に部署とか自社内組織が取り組むべきものとなり、組織全体で取り組むものとなり、外部とコラボするものとなり、対外的なものになっていった。
また外部からいろいろな提案が持ち込まれるようになって、それらとの付き合いもいろいろあった。殆どは「売り込み」なので、テンプレート化された提案書であって、差し込み印刷のように相手の事業プロフィールが嵌め込んであるだけのものであった。当然ながら最初から眉唾で眺めることになる。これらと自分で作る企画提案には大きなギャップがあった。
クロスメディアエキスパート資格を作る時には、企画提案能力というのを重視し、そのための研修や資料作りも行ったが、それはセールス活動用というよりは、新規事業を論理的に考えるトレーニングであったので、世間でいう企画提案書とはちょっと違った。
どちらかというとクライアントのためにどれだけのことをしてあげられるかという内容になり、赤字の企画書は問題外としても、コラボを始める戦略的な提案もあり、ビジネスとしてのウマミはそこではあまり問題にしていなかった。そこがセールス活動のテンプレート企画書との差である。
世間の企画提案の殆どはセールスツールなのだろう。そういうものを私が作ることは殆どないのだが、傍からみていると「儲かります」というのは大抵が作文である。提案の筋が通っていて、取り組む価値があるものでも、儲かるような数字を入れただけでインチキ臭いものになってしまうことがある。今の私は企画提案の下書屋のようなものなので数字にはタッチしないのだが、なかなか儲かりそうな話は実際にはなくて、うまくいってトントン、時代が追い風になればプラス、別のマイナス要因が生じれば変更せざるをえないようなのがフツーのビジネス提案だろう。
トントンでも永く続くものをベースに考えて、そこで工夫を凝らして利益を出すくらいがちょうどよく、誰でも儲かるような企画はみんなが始めてしまうので凄い競争になり、企業の体力勝負となってしまう。むしろ努力の割には利幅が少なく見えるもので、実はノウハウを積んでいる者なら利益が出せる場合の方が無益な競争にならない。
つまりクライアントも提案する側も、既にある資産を流用することで優位に立てるのが良いビジネス企画だ。そうすると自社やクライアントにある隠れた資産を見つけ出して評価することが非常に重要であり、これがB2Bの基本になる。
だから相手の懐の内側を知らないで作られた企画提案はどうしてもウソぽくなってしまう。
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