投稿日: Mar 09, 2011 11:6:30 PM
ソーシャルメディアは日常的に使えると思う方へ
少子化により、まだ使える子供用品をオークションで売買することが増えた。また子育てというのは一過性の課題が続くもので、たくさんの子供を持つことが減ったために、経験則というのが不足していく。子育てに関してもいろいろなサイトやサービスがネット上にはあるが、それらを駆使していくにはネットがうまく使えるリテラシーが必要となる。それほどでもない人にも使いやすい子育てというポータルが十分発達しているわけではない。記事『当事者に語らしむべし』では総合誌的マスメディアではテーマの継続ができないが、人々はそれぞれ一貫したテーマが必要なことを書いた。また記事『問題解決の場としてのソーシャル』では学年誌というメディアよりも通信教育のような総合サービスの方がビジネスになったことを書いた。同じようなフィールドでビジネスをするにしても、今までのアナログメディアのテーマのフォーカスの仕方と、ネットでのソーシャルメディアにおけるテーマのフォーカスの仕方も異なるものとなろうとしている。
雑誌の定期購読制は出版社と読者がずっとつながっているように見えて、内容的にはやはり出版社から読者への一方通行である。ところが双方向メディアではリアルタイムで読者の反応がとれるので、読者のリアクションを引き出すことを企画時点から考えることになる。むしろ記事『当事者に語らしむべし』のように、読者をコンテンツにしてしまうのが強みとなってくる。だからといって市民ジャーナリズムとかCGM・UGCでお任せのネットメディアはうまく運用できない。Cookpadはその点ではうまく機能したサイトで、最初にそれなりのコンテンツを揃えて投稿を引き出し、投稿を精査して評判を得るものとして、発展させていった。そのテーマの下で探し物をしている人にとって全部は読みきれないほど膨大なデータを用意して、継続して利用してもらうことがこの種のサービスでは重要だ。一方マスメディアは金のかかった上等なコンテンツが作られても、番組が終われば別のテーマの番組が始まってしまって、世界を断片化して羅列しているようなものである。今後はスマートTVが断片化されたコンテンツにコンテキストを与えるとかネットメディアとのリンクを作り出すかもしれない。
改正薬事法で薬の通販が規制されたが、法律論議とは別にリアルな店舗ではできないサービスをネット上で作っていくことが、一般の人に「ネットは善」と思ってもらうために必要になる。ネット上にそれぞれ専門分野の当事者を登場させて生活者の問題解決の助けになるようにするべき分野がいろいろあることを、記事『コンテンツを核としたソーシャル』に書いたが、抽象的なソーシャルメディア論を話している間に、自分のビジネスとしては具体的なサービスを先に考えてステークホルダと調整を図るべき時期に来ていると思う。ソーシャルメディアによる社会的効用を明らかにしないで、メディア論だけしていてもこの先には進まないだろう。
つまり既存のマスメディアは事前にメディアの様式が先にあって、そこにいろんなコンテンツを盛り付けた幕の内弁当とかコース料理のようになっているのに対して、シェフのような専門家そのものをバーチャル化して、利用者との交流もメディア化できるのがソーシャルメディアで、そこに従来からの静的コンテンツも、Ustのような放送に近いものも紐つけられる。例えばお稽古事のようなビジネスもそのようにメディア化すれば、そこに集まってくる人のソーシャルグラフで外の世界に広報できるようになるはずだ。マスメディアを超えるには、不断に続く日常生活の中にメディアが降りていかなければならない。