投稿日: Oct 22, 2015 1:44:36 AM
今年はBluesの巨匠B.B.Kingが亡くなった。彼は1960年代までR&Bトップ10の常連だったので、沢山レコードは売れたはずで、今でも45回転盤は潤沢に流通していて、中古で5~10ドルで手に入る。かつては25セントくらいでも手に入ったので、100枚以上買ったと思う。そのおかげでB.B.KingのLPレコードは殆ど買わずに今に至っている。LP編集されたものを流して聞くよりも、45回転盤で1曲1曲勝負していた有様を思い浮かべて聞く方が好きである。しかも当時はLPを買うよりも中古の45回転盤を買う方が安くついたということもあった。
一方でヒットチャートには縁のない大多数のBluesやR&Bのレコードを探すのは容易ではない。もちろん通販をしているところはいくらでもあるが、それは最近売れているものに限られているので、目星をつけた何十年も前のレコードに辿りつくにはいろいろな努力が必要になる。
しかしアメリカは日本のような再販制度がないので、売れなかったレコードが回収されてビニール原料として溶かされることはなく、作品として世の名のどこかに残るのである。
記事『再販の犠牲者』、記事『コンテンツが裸でも売れるアメリカ』では、流通業から廃棄処分になったレコードの流通のことに触れていて、上の写真では左上のレコードの「WAYOUT」の左にドリルの穴があるような、BBホールのレコードがスーパーのワゴンなどで安く売られていたことを書いた。
経理上は廃棄処分されて、単なるビニール円盤になったものを集めて、それらをPOP、C&W、R&B、ROCKなどに分類して、1000枚100ドルとかで売る業者があった。若い時にはそういったものを買ったこともあったが、ほとんどはありふれたもので、売れたレコードは過剰に生産していたことがわかる。そんな中で自分にとって必要なレコードはほんの数枚しかなく、レコード取集方法には適していないなと思った。
アメリカではあまたあるラジオ局などから放出される古レコードが再流通して、それらは写真の、SAMPLE、
DJ copy、Radio Station Copy、Promotional Copy、Audition、などとして、ほぼ無料で配られたもので、売買はされないことを前提に印税の支払いもされないレコードである。R&Bでは数百枚くらいが作られていたようである。
これらもBBホールと同様に中古市場やコレクター向け市場を渡り歩きながら、価値が再発見されていく。こういった中古市場での再評価というのは何十年もかかる。むしろ世に出て20年くらいは見向きもされない傾向がある。そして再評価された頃にはCDなどを出そうと思っても権利者がわからないことが多い。
現実問題としては欧米でもコンピレーションの海賊版という形でしか世に出せなかった再評価CDというのは多いのである。こういったものも非親告罪化で摘発されるようになるのだろうか?
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