投稿日: Apr 02, 2013 12:29:12 AM
海外展開はスタートするのかと思う方へ
北朝鮮が威嚇的挑戦的な威勢のいい事をアナウンスしていても、それは北朝鮮の国内事情によるもので、実際の北朝鮮の軍事力が世界のトップレベルであると思う人はいないだろう。そんな国内向けのポーズのために大金をつぎ込んでいることは愚かなことだ。世界にはそのような愚かな政治はいくらでもあるのだが、日本の cool Japan というのも似たようなものだと思う。マスメディアなどで cool Japan が出てくるのは、日本の行政がそう呼んでいるものと、一般の日本人がそう思っているものと、海外のコメントでそう書き込まれているものと、海外のマスメディアで採り上げられているものに大別できると思うが、これらはちゃんとつながっていて、世界的に cool Japan というような何か合意ができているのだろうかと疑問に思う。
麻生内閣の時にマンガやアニメの殿堂のようなものを作る計画があったのが頓挫したが、当時の計画はハコモノ的な発想だけである点が不十分であった。イギリスの大英博物館では鳥獣戯画以来の日本のグラフィックスとマンガをつないで展示を行うような見事なキュレーションの例があって、やはり日本文化全体の中でマンガのグラフィックスもストーリーも言葉遣いも位置づけるような活動がないと cool Japan は底の浅いものとなってしまうだろう。
そういった日本文化の再認識を国内で進めるとともに、その成果を海外でイベント化していくことが、 cool Japan のマーケティングの土台だろうと思う。ところが現状は政府が取り上げるのは自画自賛であったり、また国内の一般的人気があるものを海外に輸出したいとか、どちらかというと一方的な思いのものが多い。それを誘導しているのが、ネットの時代になって日本のサブカルが海外でも注目されているからだが、元来ネットの書き込みというのはパーソナルなもので社会を見る鏡にはならないので、どこかでだれかが cool! Japan と叫んでも、真に受けるわけにはいかない。例えばキャラ弁などは cool! と crazy! は両方あって、まるで同義語のように使われている。
北米のマスコミの取り上げ方については、もう「日本に面白いものがあるゾ!」と紹介する時代は過ぎて、本当にコンテンツが世界に通用するものしか取り上げてもらえなくなった、従って、一般の人々も日本のマンガとやらを買って見て見よう、という単純な販売が出来る時代ではなくなったという。つまり批評に耐えるようなコンテンツでないとメディアで紹介してもらえなくなっているのだろう。これは数打てばアタるというようなものではなく、ちゃんと翻訳するとか、場合によってはリメイクして新たなコンテンツとして出発する必要がある。
もし政府が本気で cool Japan をするならば、国内での再評価とか、翻訳、リメイクなど地味なところから始めるべきだろう。