投稿日: Nov 13, 2012 3:6:0 AM
次のステップに賭けたい方へ
eBookの指向として書籍っぽいeBookとマルチメディア化するeBookのことを『eBookは長期戦』で書いた。書籍ぽいものはすでにAmazonでもKoboでもスタートしていて、基本的にはドットブックでもXMDFでも変わりはしない。現状はそれら過去のeBookをmobiなりEPUBに変換して再流通させているだけなので、何か革新があったわけではない。どうやって売るか、どれだけ売るかだけが課題なのだが、そういったことはあまり話題にならず、Amazonなどにお任せモードになりつつあるのは不思議ともいえる。
一方でマルチメディアというだけで人が関心をもって買ってくれるわけではないので、それらは何らかの目的を持たせてアプリとして売るとか、企業の販促用として無料アプリになっている。しかしこれらはいずれも単発なので、紙の雑誌のように定期発行するのは難しい。これらアプリも広告を取るような工夫もあるだろうが、広告つきだと何かと制約をうける。そもそも従来の広告のインプレッション数などを示すことができないので、いわゆる媒体広告ではなくスポンサーシップに近いものとなる。これはWebと同じような状況で、有料メディアにはなかなか進めない。
いずれにせよ形をもたないデジタルメディアは、それ自体を露出させて存在感をあらわし認知されるようにはならないので、いろいろなところに紐付いていて(アフィリエイトなど)、さらに口コミでささやき続けられなければ、存在しないのと同じになってしまう。この紐づけや口コミとしてソーシャルメディアが期待されているわけだが、ソーシャルメディアを土台とした電子出版ビジネスというスタイルはまだ出来ていない。果たしてそうなるのだろうか? 以前書いたがfacebookがSNSの活用の一つとしてこういったeBook的なものを積極的に扱うかもしれないと思ったときもあった。しかしSNSを物販などに使う仕組みはSNS利用者の離反を招くことを恐れて、未だに取り組まれてはいない。
当然facebook上に各eBookのページを作ることはできるが、無限に有り得るeBookを横断的に扱う仕組みは今のところないので、手作業でいっぱいお友達を作ったりリンクを張るようなことになって、同人以上のものにはなり難い。そのためにNewYorkTimesのように紙の大メディアがデジタルでも大メディアになるような横すべり型のビジネスに収斂しつつあり、日本の日経も同じような道を行くだろう。もしeBookで新たなパブリッシャーが頭角を現さなければ、eBookは出版の革命足りえないことになる。紙の出版社はそうあって欲しいと思っているかもしれない。
しかしそのようにこう着状態が続くことはないと思う。それはeBookの魅力そのものがまだ開発途上で、そのうちになるほどeBookは役立つというものが出てくるであろうし、また売り方についても書店サイト依存ではなく、SNSや検索エンジンなどから見つけてもらうモデルがでてくるであろう。今考えるべき電子書籍のマーケティングは、そういった次ステップをどれだけ想像できるかが課題であると思う。
Mediverse+EBook2.0Forum 11月の研究会