投稿日: Nov 13, 2015 1:47:19 AM
予想していたことであるが、「ぴあ」の映画観客動員数ランキングを見たら、1位から11位まで知らない作品ばかり。そもそも映画にそれほど興味は持っていないので、宣伝とか噂で聞いたことがある程度の作品があるかと思ったが、2015年11月7日、8日の全国映画動員ランキングには無かった。封切り作品で、『ミケランジェロ・プロジェクト』はなんとなく記憶があったのだが、全国152館上映で2日間の動員が3万4566人というから、1館1日にすると120人である。これで10位に入っている。もはや映画ははなからロングテールではないか。
映画の今日のビジネスモデルについては、記事『あの手この手のコンテンツビジネス』に書いたことがあるが、そこでは封切り売り上げは28%にすぎず、いろんなメディアに乗っかることで収益を上げるようになっている。書籍も音楽も最初に世に出た時だけが勝負なのではなく、人々との接点のいろんな機会を作っていかなければならなくなっていることを、その記事では書いた。映画がビジネスモデル的には先行しているわけで、それからどう学ぶかである。
コンテンツの流通の分野でもいろいろ苦労している。USENがコンテンツ制作に乗り出して失敗したことがあったが、CCCもコンテンツに手を出している。流通も制作もデジタルとネットによるガラガラポンの影響を受けるからである。
よく「再定義」とか「再発明」という言葉が使われるが、コンテンツビジネスは過去のスタイルから脱却しなければならず、特に新しい概念でビジネスをするには過去のステークホルダとの絆はずっと弱めなければならないだろう。過去のスタイルに関らず動けているのはKADOKAWAくらいだが、それでもそれほど先が見えているようにも思えない。制作の工場を作るというのもピントがずれたものになるかもしれない。他の大手コンテンツホルダはいまだに「余力」に浸っていて危機感は感じられない。
制作・パブリッシャー・流通のそれぞれが一度に流動的になる時がくるだろうが、そこでは過去の経験が生きないから大きなビジネスには挑戦しにくくなる。つまりマスマーケティングに拘っていては、いつまで経っても変化を乗り切ることはできないと思う。むしろ日銭とかゲリラ戦法が通用するところに退避して、なるべく自力でできるようなビジネスの仕掛けを考えないと変化から何かを産み出すことは難しいだろう。そして芽が出た新たなビジネスが成長の変曲点にさしかかる時には自力に拘らずに競争力を高める方策に出ないとウマミは得られない。
そういう意味ではコンテンツビジネスはベンチャーな時代に入ってきたといえる。
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