投稿日: Jan 19, 2013 12:33:56 AM
お互いに支えあうことを考えねばならないと思う方へ
eBookのように制作の手間やコストがかからない方法が人々に認知されると「自主出版」が増えて、出版とは商業・ビジネスを指す言葉ではなくなってしまうだろう。だから今の「紙の冊子を作ります」というような出版の業態は持ちこたえられなくなり、有料コンテンツはブランド化を再構築する必要がある。これはEPUBとかHTML5とかタブレット云々という技術の話ではなく、経営としてはコンテンツやライセンス販売のコングロマリットを作ることになろう。ディズニーのように。
今日本で問題にしている電子書籍でどのように稼ぐかという話と、コンテンツ・コングロマリットとでは隔たりが大きすぎて、日本でコングロマリット議論ができるのはNHK、角川、ソフバンくらいだろうから、残念ながらいくら海外の情報があっても紹介しても意味がない。デジタルコンテンツ単体をとりだして経営しようと思っても、ビジネスには成り難いロングテールの海にもがいているだけである。これは売れない作家が自分の作品を採用してくれる出版社を探してもがいているのと対照になっている。
しかし作家も出版側もどこかにチャンスはあると思って続けているわけだから、「もがき」が途絶えないで持続させるくらいの枠組みは必要だろう。それは端的にいえばアルバイトをすることである。つまりは作家も出版側も編プロ化して企業や自治体などなどから小まめに仕事をとって食いつなぐことである。記事『有名人と無名人の間』では新人賞に触れたが、この人たちは無名状態で働きながら創作をしていたわけで、昔から編集に携わりながら創作を始めた人が居たように、企業や自治体などで何らかコンテンツに関係したビジネスがこういった卵たちに仕事を出すことが必要だ。コンテンツに関して働いている人がお互いに支えあう考え方あれば、お互いにどこかでつながっていくだろう。
出版社の仕事もフリーの人が多くかかわっているが、それに比べて企業や自治体の仕事は単位が小さく、おそらく原稿を書いても何千円の単位かもしれない。だから何度も顔を合わせて打ち合わせをするとかではなく、最初は面接するにしても在宅でネット経由のやり取りで散発的に仕事があるという程度になるだろう。しかしそれでも個人ベースならアルバイトにはなる。雑誌をだしていた出版社は自分の企画能力や人脈を活かしてPR誌・パンフレット・カタログ・マニュアルWebなどの制作をするしか生き残る道はないだろう。そうしながら次のチャンスを狙うことになる。
実は音楽もCDやレコードを出して喰っている人は例外中の例外で、殆どの人はアルバイト的な収入しかない。だから出版も自主出版の時代にはビジネスが分解されて、小出版の独立経営が難しくなるのは当然といえば当然なのだ。