投稿日: Jul 09, 2014 12:21:53 AM
集団的自衛権の議論がものすごく情報不足であって、しかも未消化である気がする。通常は議論を熟成させてから閣議に測るのが筋であろうが、今はちょうど逆で、「今やってしまわなければ…」という自民党の姿勢がいかがわしい。マスコミが騒ぐとか議論が広がるのがウザいという政治家の感覚が丸見えである。情報不足とか議論未消化で国会が見切り発射するというのは、民主主義に反するというか国民をバカにしている。そういう政策を積み重ねると、バランス感覚というのが失われてどこかで破たんが来るはずである。
日本の議論で何が最も足りないかというと、世界の現状認識であろう。これは全国民に知ってももらおうというものではないにしても、ある程度の教養の人には知っていてもらいたいことが抜けているような気がする。事実を知らないと情緒的な発言が幅を利かすようになる。もっとも近代とか現代の「事実」というのが誰でも同じように認識できるような状態でないことはわかりきっているので、世界の常識的な「事実」である。
日本の太平洋戦争のことを日本人が伝え聞いているのは当たり前であるが、では第2次大戦時のヨーロッパはどうだったのか、あるいは今いろいろな紛争が絶えない中東は当時どうであったのか、という点では日本の大人はすごくモノを知らない気がする。
日本人が欧米や中東を知らないのは距離が隔たっていて馴染みがないから、新聞やテレビのニュースで流れていることも気に留まらないのだろう。もし気に留まっていたならば、第2次大戦感とか現代までひきずっている問題、これからの世界経済を左右する要因などの話題がネットでももっと出てくるであろう。
facebookやtwitterの日本語を見る限り、ものすごく国内とか東アジアの、しかも局部的な話題しかネットには上がってこなくって、それで世界の動向がわかるのだろうかと思ってしまう。
欧米のジャーナリズムを英語で苦労して読むまでもなく、日本語の海外ニュースでもちゃんと見ておけば、少なくとも欧米の人は何を考え、中東の人は何を考え、東南アジアの人は何を考えているかも、大雑把にはわかるようにできているのである。マスコミに対していろいろ批判すべきところはあるが、海外ニュースに関しては海外のジャーナリズムの真摯さを感じるところが多い。つまり日本のジャーナリズムは中国だって韓国だって身を挺して取材には行っていないが、海外ジャーナリズムは基本は自分で取材に行くからである。
こういった日本のジャーナリズムの中途半端さは日本のマスコミだけに責任があるのではなく、結局ネットでタダで情報が得られるようになっても、SNSで参照するニュースネタが「何々速」とかまとめサイトが多かったりする国民側の問題も大きい。SNSでの真面目なフォーラムでも未だに新聞ネタが実は中心になっていて、本来ならネット上のニュースのキュレーションサイト(Yahoo関連ならTHE PAGEのようなもの)が盛んになるべきだが、関心はまだ薄いように思える。