投稿日: Nov 06, 2014 12:55:11 AM
毎年秋に発表されるガートナーのハイプサイクル・ハイプカーブによると、3Dプリンタは過度な期待のピークの少し下に位置している。この調査の細部をを真に受ける必要はないのだが、毎年のグラフがネット上にあるので、見比べると納得感のある部分もあり、傾向を示す資料にはなっているだろう。日本でも3Dプリンタに飛びつく人がいて、フィギュアなどを作っていたが、アメリカではピストルを作っていたり、国民性が出ている。ピストルに関しては部品をCADデータで配布できるという点に大きな意味があり、3Dプリンタで壊れた部品の補修ができるという一般的な使い方が示された。これはCADデータがネットで流通自由になるという意味と、標準部品には互換性があるという意味の二つがある。日本でオxxコを3Dデータで配布して問題になったのとは全く発想が異なる。
つまりピストル云々の話とは別に3Dプリンタは客先に出向いてのメンテナンスの考え方を変えるとか、ビジネス革新にインパクトがあることになる。当然他にも3Dプリンタが人々にインスピレーションを与えた点は多くある。そういった漠然とした将来ビジョンと、1点制作のフィギュアで小商いというのは全く次元の異なる話である。残念なことに、日本では将来ビジョンを考えることよりも、手近に何かをチャチャと作る方に話が行ってしまう。しかし永いビジネスを考えるならば、いろんな角度からモノや事柄の本質を考えなければならない。
モノのインターネットというのも、家電を無理やりネットにつないだり、スマホでコントロールしたり、ユビキタスのガジェットとの関連で小物の開発に行きがちな分野だ。こういった小物開発でも人口の何割が使うようになるとビッグビジネスになることはわかるが、それが先に起こることはないと思う。
ネットの利用も銀行など業界オンラインとか、EDIのような取引のオンライン化の後でコンシュマ向けのパソコン通信やWebが出てきたように、モノのインターネットもインフラ部分から着手されるものがホンモノで、その後にそういったインフラの上にいろんなアプリやサービスが開花するはずである。
例えば日本ではいまだに各家庭をまわって検針をする業務があるが、スマートメーターの概念は1980年頃のINS構想にもあったはずのもので、一体30年間何をしていたのだと不思議に思うくらい旧来の機器を使い続けていて、やっと今腰を上げて動き出そうとしている。それでも東京オリンピックにはまだ普及しきらないくらいのペースの計画である。
しかも本当に検針だけをするつもりなのか、こういったインフラの上にどんなウレシイことがあるかを考えているのか、という疑問がある。まあ電力やガス会社はインフラ整備をすれば用は足りるのだろうが、そこで行き交う膨大な情報をどのように処理すると、どんなことに役立つかは、オープンに議論すれば、新たな改善やサービスのヒントがいっぱい出てくるだろうと思われる。
F通やN本電気はそういうインフラのデータセンタとかを用意する立場であろうし、そこのデータを民間に使わせて産業の活性化とか生活向上に向けるという役割もあると思う。つまりそれらがモノのインターネットの基盤の一つにもなると思う。
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