投稿日: Aug 17, 2015 12:39:8 AM
8月12日深夜に発生した天津の爆発事故は、まるで戦争が始まったのかと思うくらいすごかった。何度か小爆発があってから、核戦争かと思うような大爆発があって、2~3秒後にカメラをもっている人が爆風で倒れる様子が映像として世界に拡散された。それも爆心地の周囲のいろんな方向から撮られていて、1km位のところなら爆風でマンションの窓が枠ごと室内に倒れてくるとか、映像と爆風・爆音の差から、隔たり長短でどのような衝撃があったのかも想像できるものであった。また副次的に天津の人々の暮らし方も伝わってきた。けが人を病院に車で運ぶボランティアがすぐに立ちあがっていた。
しかし情報のすべてが見通せるようにはなっていない。天津港は世界第4位の貿易港ということで、輸送する日本車だけでも何百台が周囲に置かれていたが、並んでいた車はタイヤや内装は燃えてなくなり、板金だけになっていた。ここには危険物を扱う危品庫というのが2つあったが、それ以外にコンテナが盛大に爆発したようである。安全性という点からは何が燃えたのかというのが焦点になっているが、そもそも何処に何が置かれていたのかを突き止めることができるのだろうかと思う。いわゆるコンプライアンス問題で、港湾荷役業務の利権や汚職などの問題につながっていくことが予想される。
1昨年だったか、天安門広場で自動車爆発があった時もそうだったが、居合わせた人の撮った動画が瞬時に世界を巡った。中国はtwitterが使えなかったかと思うが、誰かが中国国内のSNSに流しても、別の人が海外にも流すので、こういう事故の通りがかりモノは実質上の無管理状態になる。
今回の事故では、動画は民間からたくさんアップされたものの、事故現場写真は統制されていて、新聞社も勝手には入れなかったようである。BBC始め欧米のジャーナリズムの現地の人が現場の周囲から取材をしていて、中国語の字幕をつけて動画を流している。日本の取材陣は居なかったのかもしれない。
感心したのは、真っ先に現場写真を発表したのが「中国消防」のサイト http://119.china.com.cn/ で、大きく鮮明な現場写真を沢山掲載(http://119.china.com.cn/jdxw/txt/2015-08/13/content_8150710.htm)して、それを各報道機関も使っていた。つまり、消防の活動の役割には報道が含まれているようで、最前線の消火活動などとともに撮影班が一緒に行動しているだろうと思えたわけである。また一日中頻繁にショートメッセージのような報道をサイトに行っている。
もはや報道は国内マスメディアだけが行うのではなく、民間も外国メディアも、また公共サービスも行う時代なのだと思わされた。
中国消防は日本における災害時の自衛隊出動に似ているように思えたが、今はジャーナリズムが入って行かなくても、現場の側でも映像や画像の記録は必要になるのだから、そこから選んで国民に情報提供をすればよい。中国の場合は事故現場に報道陣を入れないため、ということもあって中国消防(公安の一種)が情報サービスに力を入れているのではないかと思う。
このような制約はあるにしても、日本の自衛隊や消防よりも中国消防の方が直接の情報公開をしているように思えた。