投稿日: Jun 12, 2012 12:39:36 AM
自由な発想でeBookを作りたい方へ
音声を録音できるiPhone/iPad/Android向けの紙芝居風絵本「こえほん」 http://www.pict-box.com/app が人気であることを記事『出版のアプリ化というパラダイムシフト』で書いた。欧米ではiPadはベビーシッターだといわれるほど、お母さんたちはiPadに絵本やアニメを沢山入れて旅行をしていて、旅の中の交通機関の待ち時間や食事の前後などで、幼児が間が持てないような時に、子供のお気に入りのものを見せている。iPadの登場前から電子雑誌でアプリのすばらしさを競い合うデモが作られたが、カッコよいものは長続きしなかった。その理由は3Dなどに凝りすぎたり、アプリの使い勝手が個別に開発されていて利用者になじんでもらえなかったなどであろう。ところがそのような表現技術に依存するのではなく、利用者のライフスタイルの中にどう入り込むかという視点が重要だったのだ。
つまりeBookにおけるアプリ化というのは技術指向の面白さだけではなく、利用者の視点で革新的なことがいろいろ考えられるということである。iPadはベビーシッターとして何が出来るのかを考えると、それだけでも数多くのアプリが思いつくだろう。赤ちゃんが泣き止むサウンドというのもあった。この場合は赤ちゃんの個人差があるので、いくつかのパターンを試して、合うものが探しやすいようになっているが、自分で入れることもできる。またネットにつながった特性としてソーシャルにシェアする方向にも進む。
絵本の場合でも、数多くの絵本を入れられるとか、ダウンロード可能なので、幼児・児童用の移動図書館としてスマートデバイスを使う方向もある。そこでは1点づつ買うのではなく、期間限定で利用するという貸し本モデルのビジネスができるだろう。もし広告がつけられれば無料になるかもしれない。1点づつの販売よりも図書館モデルがよいのは、どういうものが今読まれているかという統計に基づいたさまざまなサービスが可能になるからである。つまりfacebookなどの「いいね」のようなものと、利用者のプロファイルを統計処理すれば、お薦めをすることができる。そうすると、あまり知られていない絵本や海外のコンテンツを紹介するような広がりがもてる。
「こえほん」にも今後いろんなバリエーションの派生が行われて発展していくだろう。「こえほん」は紙の本の発想から自由になれたから可能性が拓けたのだと思う。電子出版再構築の研究会としてオープン・パブリッシング・フォーラムをはじめるにあたって、「こえほん」の考え方や利用者の反応などをお聞きして、コンテンツをベースにしたサービスのアプリ化を考えるセミナーを6月20日に行うので、一皮向けたeBookを考えておられる方の参加をお薦めします。
Ebook2.0 Forumと共同開催
2012年6月20日(水)『出版ビジネスをサービス指向で再構築する』
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