投稿日: May 14, 2012 1:9:49 AM
企画の堂々巡りから抜けだしたい方へ
企画をする際に5W1Hを意識するだけで、かなりまとまりのあるものを考えることができるが、あまり脳の中をテンプレート化してしまうと自由な着想の邪魔になる。この適切なさじ加減は個人差があり、人に教えてもらうよりも自分でコントロールできるようにならないといけない。記事『テレビに攻め上れ』の最後に書いた、「アイディア・実現方法・ビジネスモデル・運用管理」というのを組織的に蓄えて管理することのむずかしかは、こういった仕事が共有しにくいからだ。しかしそれでもなお、共有できるところは共有し、個人的着想のものでも共有し難いものでも書き出して記録し、そのうち共有できるように努力することである。そうすることが社風というのを作り出していく。まあそんな悠長な話に興味がなくても、自分以外の人がどんなことを考えるているのかを知ることはお互いのコミュニケーションに役立つ。つまり書き出すという作法を通じて、企画の話が見通しよくできるようになる。
Just Idea
最初はブレーンストーミング的に思い付きを一杯出し合うことが一般に行なわれる。商標やタイトルを考えたりイベントを考えるのに何日間の間に50とか100とかアイディアを出し合うことがある。この段階では辻つまが合うとか常識とかの枠は外して、無責任でもかまわないし、人のアイディアに批評はなしである。つまり現実性・実現性はあとから考えればよくて、「こんなことができたらな」「こんな風に思われたい」という企画が実現した際の「質」の設定ができればよい。人に馴染んでもらうとか、人を驚かすとか、効果を考えるのに、「何を、どうしたら、どうなる」くらいのことを書いておくべきである。
それは文章でなくて、すでに参考になるものがあれば、それに書き加えるとか、ポンチ絵、イメージ図、チャート、紙芝居など描くことが重要である。アプリの場合は画面でモックを作ることもある。キャプチャ画面もどきのもので、どのようなことが起こるかというスライドショウにまでもっていければ上等である。今はホワイトボードに描き込んでいく様子をケータイビデオで撮るとかされる。つまり日常的に気楽にできる方法で蓄積することが重要である。
こういった情報に、年月日、タイトル、人名、などをつけてファイル保存をする。
Target + HOW
企画の提出先とかエンドユーザをはっきりさせて、その人たちの特徴・属性を書き出して、こうでなければならない、こうあってはならない、という企画の土台となる部分を決めるマーケティング的な段階である。例えば使うターゲットは小学校低学年で母親が買って与えるとか、そのためにAIDMAのこの部分に焦点をあてるとか、企画がピンボケにならないように思考の範囲を決める。
また実際には予算によってできる範囲が決まるので、実現方法も松竹梅の3段階くらい想定する必要がある。これらを
これはコンテンツと制作プロセスに関して、最初から決め付けてしまわないで、諸条件によってコンテンツやプロセスも柔軟に対応できるようにする必要があるからである。
こういう仕事の枠組みを設定する前に、アイディアから直接実現方法に話が進んでしまって、難易度やコストという難問で堂々巡りをして、せっかくのアイディアを潰してしまうこともある。よいアイディアを潰さないためにはHOWの部分を自由に考える必要があるので、プロセスが先にありきの制作会社が企画する場合の弱点になる。
ロジカルシンキング → ビジネスモデル
上記の異質の2つの要素をうまく組み立てて、お金のまわるビジネスモデルを組み立てるのがプロデューサである。うまく組み立てるとは、辻褄があって納得性が高いとか、実際に実現可能で、プロジェクトが管理できるものにすることである。だからアイディアを出すだけの人が集まっても、方法を考える人だけが集まっても、まとまりのある企画にはならずに、誰か社内でも社外でもプロデューサが、あるいはそういった視点で、論理的に整合していて、その会社のビジネスの競争力も反映したものにして、初めてプレゼンできる企画になる。
このあとに実際のプレゼンの制作能力や、プレゼンテーションそのもののテクニックというのがある。だから企画書の書き方やプレゼンテクニックを学んで、「企画即プレゼン」というのは、日常慣れた仕事では可能でも、そんな調子で新たなチャレンジができるものではないのである。