投稿日: May 28, 2013 12:21:7 AM
本当に必要なことは何か
私は黒人音楽のある種のものを50年ほど聴いたりレコードを集めたりしているが、それらは非黒人には人気がないのでCD屋さんにもコーナーが作られていないことがあった。そもそも過去の音源がCD化され難かったのである。つまり今日聴こうとすると海賊版しかないということが多いので、音楽産業の売上にはならない。
これは日本のマンガにも通じるところがあって、一般人気が高いもの以外は、マニアが取引しているプレミア本か、あるいは誰かがネットにアップしたスキャン画像しか見る方法がなく、もうロングテールになってしまったら出版社がとりあっていない状況がある。
コミック出版のビジネスとしてはワンピースのようなヒット商品開発が至上命令で、一部ファンに愛される作品に特化した小コミック出版社は潰れる運命にあった。しかしマニアというのは一般的ではないものをcoolとして再評価することがあり、そういう熱心さがサブカルチャを支えているともいえる。
海外から日本のコミケにやってくるファンとかマニアというのも、地元文化としては知る人が少ない日本のサブカルだから注目するという面があって、もし日本のマンガがマスコミでガンガン宣伝されているディズニー新作のようになってしまったら、今と同じような情熱でファンでいてくれるかどうかはわからない。
自民党の復活で麻生さんの cool Japan が再び動き出すようだが、現状は政府が取り上げるのは日本の自画自賛であったり、また国内の一般的人気があるものを海外に輸出したいとか、どちらかというと一方的な思いのものが多いことを、記事『ホントにJAPANはcoolか?』に書いた。
韓流コンテンツ輸出でも政府が音頭をとる促成のタレント発掘や歌手は短命で、PSYのような振興策の枠外の個人が世界的に人気を集めてしまったように、結局は異文化圏にも波及できるコンテンツは実力次第であって、販促によるものではない。売る以上は販促は必要だが、それは事業者に任せておけばよい。
マーケティングとしては海外から日本のコンテンツを参照するための体系的な索引や、そのどれかに関心をもった海外のパートナーが契約のためにどこにコンタクトをすればよいかなどの基礎部分を用意することであろう。各国語対応とか国際的な法務などを作家や各事業者にさせるには無理があるし、そもそもこれが無いから国内でも海賊版しか出回る方法がなくなってしまうのである。過去の作品については、売れた数を優先で考えるのではなく、批評家のコメントや、一部マニアに受けたコンテンツであることがどこかに記録させているべきであり、コンテンツ索引を核にしてオープンなリンクがどんどんできるような基盤が作られるとよいと思う。