投稿日: Apr 20, 2012 1:7:53 AM
ノマドには誤解があると思う方へ
朝NHKを見ていたら、スマホを使ってみんなで励ましあってダイエットするアプリのようなものを紹介していたが、ひとりで食いすぎている人がみんなの監視や励ましでダイエットしようという根性が間違っていると思った。ダイエットは個人の意志力を高めるチャンスでもあり、禁煙と同じでやり遂げた達成感がその人の人生の積み重ねのひとつになるだろう。この程度のことをするのに、みんなの力を借りようということ自体にやばいものを感じる。ネットがもたらした幻想のひとつに、一人ぼっちでもソーシャルメディアとかネットでのコラボでよい方向に行けるとか、食っていけそうだとか、良い社会ができるだろうという甘さがある。ネットの上でビジネスを企んでいる人たちは世界に多く居て、その殆ど全部は日本人よりもハングリーな精神の人たちである。だからネットの上で彼らを上回る仕事ぶりをしないと、コラボもビジネスも成功しないであろう。
これは開発期間の短さや、利用者のフィードバックを反映してバージョンアップの頻繁さ、などは今の日本よりもずっとドタバタで無駄な労苦が多くても頑張ってやり遂げている人たちなのであるからだ。日本でもIT開発の下請けや孫請けでドタバタの仕事をしている例は珍しくないが、それがいつまでもコーディングに終始しないでネットのビジネスにまで登っていかないから、プログラミングはもうたくさんということなのではないか。若い人の最初の仕事がタコ部屋でも仕方がないと思うが、そこから逃げだすのか、ビジネスにチャレンジするのかというのが、ハングリー精神のあるか無いかの差なのだろう。
アメリカ型のベンチャーの特徴は超一流の戦略を作って、どこかから資金を出してもらって、収入がないのにユニークなシステムやサービスを作り出し、どこかに買い取ってもらうことが続いていることで、ごく稀にはBillGatesのMicrosoftのように自分で会社を育てる人も居るが、多くは新たな利用モデルを開発することと、その運営で利益をあげることは分業になっている。だから小規模のベンチャーでも大きなビジネスを想定しているわけで、小さい会社だから社会の隙間をツツいて、なんとかしのいでいこうというものではない。
日本人の反省すべきは大会社なり組織が用意した仕事部屋から逃げ出してネット上をさまよううちに、自分の掲げるテーマが非常に小さくなってしまいがちな点だ。ITやネットビジネスのノマドが会社人間よりもクールに見えるのは、会社が会議を重ねて大した前進がないのに比べて、もっと濃い仕事をやってのけるからであるが、それは脱会社をするからそうなるのではなく、会社という組織に内在する欠陥を知ったうえで、それを超える知恵や努力を日々行なうような挑戦的で独自の生き方をしているからであるし、それをするには会社の中で改善活動をするよりも、よっぽどタフに活動をしなければならない。
つまり中の人よりもタフに生きないと、成果の出せるノマドにはなれないだろう。ノマドの面白さは大きなビジネスを背負っている会社の社長や役員と同じかそれ以上の精神で仕事ができることであり、それには相当の知見の広さや情報力が必要になる。
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