投稿日: Jun 27, 2014 1:42:57 AM
前職ではセミナー開催や出版という仕事も担当したが、正直にいえばセミナーや本は人が行動を起こす助けにはあまりならないと思っていた。ある人が自分の意思を伝えたいためにセミナーや出版をするのは意味があるとは思うが、自分に何かを伝えたい気持ちもなくて、単にビジネスとしてセミナーや出版をしていても、そこから社会的な効用が出てくるとは考え難い。つまり社会の中でセミナーや本が増えたところで、大した役には立たないだろうということだ。
人の話を聴いたり、人の書いたものを読んだりするのは、スポーツや映画を見たり音楽を聴くのと同様に受け身の活動で、趣味の世界の主流である。いくらスポーツを見ても音楽を聴いても、自分がそれらをできるようにならないのと同じで、いくら本を読んでもセミナーを聴いても、それだけでは自己実現には結びつかないのは自明である。
セミナーもスポーツ観戦も、一見リアルな行動にみえても、メディアなのである。
つまりセミナーや本は趣味の世界であり、それらが好きな人がセミナーや本屋に集まるのであり、はなはだB2C的であって、よって前職のようなB2Bの世界では二義的なものであり、それらに依存した組織運営はマズいと考えていた。B2Bの視点ではそれらよりも人脈形成に意味があり、私はもろもろの研究会に力を入れていた。しかし研究会もセミナーと似たり寄ったりのところがあって、参加して座って話を聞いているだけでは意味が無く、そこの場から誰か相談をする相手を見つけ出す積極的な関わりがされれば意味がある。
世の中には異業種交流のような会やイベントもいろいろ行われていて、そこでも新しい人脈形成を目的に人々が集まっている。日本の場合はホテルなどの場所を借りてパーティが行われる場合が多いが、アメリカという国は日常的に小さな場所でもあらゆるところでパーティが行われていて、そこが重要な情報入手の機会であり、売り込みの機会でもある。つまりパーティはメディア以上の存在になっている。
ここはまだ日本が弱いところで、新規事業をブレイクさせるには、特にシリコンバレーのように先輩が後輩を育てるという場を作ることが重要で、成長のための個人的がつながりが無いと新規事業がいつまでたっても根なし草のまま陳腐化するということを繰り返すようになってしまう。ネットメディアもB2Bでは紙メディアの後追いではなく、「場の形成」にもっと力をいれるべき。日経には非常に大きなポテンシャルがあると思うのだが、今のところ活かせてない気がする。