投稿日: Jun 23, 2011 4:0:5 AM
ハリウッドに学ぶべきところはあるかと思う方へ
清水計宏さんのfacebookでハリウッドビジネスの話が書かれていた。要約すると映画の初上映から得ている収益の割合は全体の28%に過ぎず、一番大きいのは半年~1年後に始まるビデオのセルやレンタルで、そこが57%を稼ぐという。航空機・ホテル、オンデマンドなどはそれぞれ売り上げでは2%くらいで、テレビ放映は有料・無料それぞれ4%くらいと、非常に細かい収入がいくつもある。しかし売り上げパーセントが重要なのではなく、初上映からテレビ放映までのさまざまなサービスのライフサイクル管理や役割が鍵であるように思える。
もう一度時系列に見てみると次のようになる。
・映画館の初上映 28%
・3~6カ月後 航空機・ホテル内 2%
・6~9カ月後 ペイパービュー、オンデマンド配信 2%
・6~14カ月後 ビデオ/DVDのセルおよびレンタル 57%
・12~15カ月後 有料テレビ放送 4%
・21~30カ月後 ケーブルテレビ、地上波テレビ放送 4%
・36~42カ月後 シンジケーション 3%
巨額の投資を必要とするハリウッド映画だから、回収は必至でさまざまな手を打ってきたことがわかる。映画のイメージはそのままでも、実際のビジネスとしては3年間にわたってコンテンツのライツの運用で、いろいろな機会にキュッシュを生み出す仕組みにしている。しかしこれらは断片的に存在するのではなく、時系列で連鎖的に広がるように組み立てられている。一般にはハリウッドのような交渉力や支配力はないので、世界的なビジネススキームを築こうにも築けないのだが、参考になるところは多いと思う。
内訳をもう一度みると、初上映は待ち構えているファンが対象だろう。それから9ヶ月までの各2%の経路は、売り上げは少ないように思えるが、後に影響力のある客層であって、そこで好評を得ることは、いわゆるクチコミ効果になるのだろう。このような細かいステップを踏んで進むことのメリットは、主戦場であるビデオに対してどのような販促をするかを、反応を見ながら調整できるようになっているのではないか。つまりこれらの区分は単なる二次利用ではなく、ビデオのための前哨戦としているように思える。
ネットの時代になって書籍でも出版社が自分のサイトで直販することが増えているが、書店への流通と直販の役割は明確にして、直販は流通対策としてプロモーションをしかけるような、あるいはオピニオンリーダーに対してクチコミを促進するようなメディア利用をもっと考えるといいのではないか、というのがハリウッドのビジネスから考えたことである。もっとも過去のベストセラーも何もしなかったわけではなく、売れ始めた後でのさまざまな工夫が実を結んだようなこともある。そういった経験をデジタルメディアで再現できるようになるといいのだが。
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