投稿日: Sep 26, 2011 10:43:45 PM
スマホ・タブレットは紙に似ていると思う方へ
アメリカに旅行してしばらくするとDMやカタログが送られてくることがある。ビジネス目的の場合はあまりないが、家族旅行だといろんな買い物などもするからだと思う。アメリカから送られてくる商品カタログは大抵薄い紙でページ数もそれほど多くないターゲットを絞った内容のものが主で、昔のシアーズやモンゴメリワードのような総合カタログではない。逆に今では日本の方がアメリカのかつての通販黄金時代のような立派なカタログを作っていると思われる。冒頭のターゲットを絞った薄いカタログは新規顧客拡大の目的で、ラフなデータマイニングがしてあって、反応がないと後続DMは送られないようなものが多いようだ。日本では多ページの総合カタログを繰り返し送ってくる時期もあったが、紙のカタログの使い方を再考することが続いている。
一方でネット通販はカタログの置き換えとしてではなく、仕入れとカタログ制作のタイムラグを埋めるためであったり、売り切りのために有効なものとして始まったが、次第にネット利用者の行動様式に合わせる形で発達し、今スマホ対応やソーシャルメディア対応に差しかかっている。カタログに相当するものは検索になり、一方でコンテンツの魅力を画面表示することや、内容理解の促進のために動画を使うことが多くなった。このように紙のカタログは縮小しつつ存在するものの、カタログコンテンツをデジタルメディアに活かしてなんらかの連携を図ることはまだ模索の段階である。
つまり通販はカタログを送りつければよいわけではなくなったが、デジタルの手段は未だ流動的であり、カタログをデジタルで再構築するところは、PDFをパラパラめくりをする段階から先はなかなか手が付けられないようだ。アメリカは総合カタログ通販が下火になって、その代わりにECが伸びたと思われ、もうカタログはDMの一種にみなされているのかもしれない。いろんなITのビジネスモデルが登場する割には、アメリカからカタログの電子化に関するものはもはやほとんど聞かなくなってしまった。
それに対して日本は総合カタログ通販が元気なままECも行うようなって、カタログ健在のままECを含めた販促の効率化を考えねばならなくなっている。純ECとして出発したアスクルでも紙カタログを作るようにカタログの価値は考慮されているが、それをデジタルメディア上に引き継ぐとか活かすことは、従来のWebやデータベースの時代からスマホ・タブレットによって新たな局面を迎えていると思える。これらのタッチ操作のデバイスではキーワード検索などが向いておらず、限られた単純操作で効率よく目的の情報にたどり着く方法を考えねばならない。これは紙カタログをペラペラめくるのと似たところがある。つまりPDFのパラパラめくりと違って、タップして詳細情報に入ったり戻ったりすることを、面倒でなく迷子にならずにできることが課題である。
スマホ・タブレットが飛躍的に伸びることは間違いないが、それらが魔法の紙になるようなユーザインタフェースにはこれからも地道な開発が必要であろう。
関連セミナー 打つ手はある!情報処理型パブリッシングで今ここまで出来る! 2011年10月5日(水)