投稿日: Sep 06, 2010 10:48:24 PM
Webに成長感がないと思う方へ
ニュース2chの「日清食品がCM撮影のため山から登山者を追い出す」についてのtweetが増えて、日清食品の製品に関するtweetを上回っている。これは新聞投稿 http://tumblr.com/xdkhso6rl で、槍ケ岳山頂にちゃぶ台を置いて男性タレントがラーメンを食べる所作をヘリがテレビコマーシャル撮影していて、登山者が山頂に行くのが制止されたというものだった。その時の登山者の写真 も沢山Blogなどにあげられている。山頂で登山者を制止したのは制作会社であって日清食品ではないのだが、企画内容の妥当性は問われるだろうし、発注者としては外注先の振る舞いも社会性という点で要チェックになっている。
今でもマスメディアはコンシューマ向け製品にとっては重要なメディアだが、取るに足りないと思われてきたネット上での情報(今はソーシャルメディアと呼ばれるもの)に関しては企業の意識は薄く、炎上云々もいまだにある。特に日本はマスメディア過信が残っているが、スターバックスはFacebookで友人を1000万人集めているように、予算の配分も含めてメディア対策を変えてしまう企業も出てきている。実際にはソーシャルメディア対応をどうすればよいか妙案はない。アメリカでもIR情報公開に関して企業がソーシャルメディアのアカウントを持って、アクセスしやすいようにするのが半数くらいある程度だろう。
これらは基本的にはマーケティングの考え方を変えなければ対応できない問題だが、それと平行してソーシャルメディアの伸張のように社会が既存メディア依存を脱しつつあることも考慮しなければならない。ネットの利用時間の内訳を年毎にたどっても、数年前ならYahooなどのポータルから出発してバナーで企業サイトへ飛ぶ傾向が強かったが、YouTubeとか情報共有サイトが求心力を発揮するようになり、この2年ほどはFacebookが個人のスタートページになるように激しく変遷している。これに伴いポータルサイトの単純バナーから、コンテンツ連携の広告、そして個人のファンになってもらうため、というように広告出稿も変遷してきた。これは単に露出場所が移動するのではなく、どのような接し方をするのかを再考するものなので、マーケティング力のある会社でないと対応ができない。言い方を変えると一般的な企業サイトなどを社外に丸投げして作っても人は見に来ない時代だと思うべきだ。
』と『フリー』のクリス・アンダーソンが、WIREDで「Webは死んだ」といって議論になっているのは、オープンなHTMLの世界から半クローズドなネットアプリの世界へのシフト傾向を指しているからだが、そもそもメディアが人々の求めるものではなくて、その先に人々が望むサービスがあるはずだ、と考えてみるとわかりやすい。人々が目的達成のために情報入手やそれらの組み立てをしているのなら、先に目的を聞いて、その実現方法を提供することをネットで行うのが伸びるのは当然だ。つまりネットを経由したサービスに焦点が移り、その中で人々とのヒューマンインタフェース部分がネットメディアになると考えるとよい。だからFacebookに広告を出すだけでは意味がなく、Facebookを通じてどんなサービスを提供するのかを開発する必要がある。それは広告代理店に丸投げはできないテーマだろう。