投稿日: Nov 08, 2013 12:44:9 AM
図書館の多様化とは
最近は図書館議論が盛り上がっているが、美術館・博物館・記念館・資料館といったところに議論が広がっていくとよいと思う。これらの課題は何かひとつの答えがあるものではなく、それぞれの地域特性に合った多様化をしていくものであろう。例えばT市の図書館が民間業者と一緒にBookCafeになったところで、そこに需要があればOKであるし、旧来型の図書館サービスが求められるのなら、それを作ればよいだけの話である。日本の人口当たりの図書館数は欧米に比べれば少ないので、T市の図書館に関していろいろ議論があるなら、この際T市は図書館数を倍にして運営する方法を考えればよい。BookCafeが民間業者の運営なら、もう1つは民間ボランティアの運営に任せるなどである。
図書館の経営が大変なのは判るが、それは自治体の経費でまかなうとなると税金の負担になってしまう。桜美林大学設立の際に図書館が必要で、規定を満たすためにリヤカーをひいて古書を集め廻ったという話があったが、勝手図書館をNPOなどが運営するのがあってもいいだろう。ウチの子供が通っていたところでは、教室のまわりの通路が全部書架で、そこに生徒が自宅から読み終わった本を持ってきて置いていくという図書館もどきがあった。借りるにも何の手続きもないし、期限もない。要するに誰かが書架を提供してくれれば、もし貸し出し管理をするにしても、ヨーロッパのスーパーのセルフレジのように、自己管理させることも今では可能だろう。
ただ不特定多数の人が頻繁に訪れるところでは自己管理は難しいと思うが、そこで博物館・記念館・資料館の出番がある。既存のこういった施設の図書室の外延に併設でミニ図書館とか、ミニBookCafeを作ればよいのではないか。そこの特徴は本来の目的に関連した書籍が多くあることで、設立の目的が人々によくわかってもらうとか、活動に協力を得るための接点になることができる。しかしそれに加えて、ついでにミニ図書館としてくつろいでもらって、同時に地域の人と交流もしてもらえるといいのではないか。こういう活動も民間業者とかNPOなど民間団体とのタイアップで助けてもらうことが重要だ。
このようにそれぞれの地域で図書館兼美術館・博物館・記念館・資料館が増えると、義務教育との接点も多くなるだろうし、旅行者も立ち寄ってくつろげるし、NPOなどの活動も広がるし、コンテンツ需要も増える。こういったミニ施設はコンテンツの充実には限りがあるのだから、その不足分はバーチャルな図書館サービスによって補われることになろう。つまり今大学向けに学術ジャーナルのオンラインライブラリーのサービスがあるように、オンラインコンテンツのB2Bサービスの裾野も拡大するだろう。
もっとも重要なのは、オンラインではなく、地域の民間業者・民間団体とパートナー化して多様化することであり、意見だけいう人はほっておいて、行動する人たちのテーマにすることだろう。