投稿日: Sep 22, 2012 1:21:9 AM
本当のニーズは何かと思う方へ
紙メディアに変わる新しいデジタルメディアの夢というのは、まるで開発者の強迫観念のようになって、マルチメディアが叫ばれてから次々と新たなカタチを産み出させて来た。今でも有料サイト、RSSフィードはあるが、しかしベンチャー企業がいろいろアイディアを出し合って、幾ら投資がついたとか、企業買収のニュースがでるのを嘲笑うかのように、ホリエモンのメルマガが1億円を売り上げたり、また若干有名なオピニオンリーダーが有料メルマガを出すようになっている。メルマガ自体は非常に古い技術で何のヘンテツもないのだが、なぜ有料メディアとして生き残るようになったのだろうか?
今は高齢化してしまった2chが伸び盛りの時でも、もっと外見がスマートなWeb掲示板が主流で、2chはもっとも見てくれが悪い部類だった。AmazonのWebというのもデザイン面では最低のECかもしれない。つまり外見よりももっと強く望まれていることがあっても、それが見えないようになっていたというのが強迫観念的開発の結果である。データを入れるフォーマットがメディアのコアではなく、実は外見はどのようにでもできることが、ワンソースを「マルチユース」する肝であるが、このことは過去30年間を通してもなかなか理解されない。メディアを出し続ける上で重要なのは、表現領域よりも、オーサリング環境とか、素材から制作物までの管理なのである。
それはさておき、昔からあるメルマガが今日でも生き残っている理由は、メルマガそのものにあるのではない。デジタルメディアの外見はどのようにでもなりえるといったように、Webとメルマガの両方を出している人もいる。しかしなぜかWebサイトに対するtweetよりも、人気の有料メルマガの方が多くtweetされているのを見受ける。ここには2つの着目点がある。第1はメルマガは「ある時」に届くということで、いつ更新されたのかわからないWebよりも読むきっかけがはっきりとしている点である。Webでも更新するとRSS通知とかメールでreminderというのがあるが、それならばいっそメッセージそのものを送ったほうが単刀直入である。
第2はtweetとの相性であろう。メールを読むことはどこでもできるので、スマホの時代には最も届きやすいメディアがメルマガかもしれない。事実ケータイ小説というものも同じような理由で広まった。こういう文字を読む環境において、読んで思いついたことをメモとして残すツールとしてtwitterがある。というか先にtwitterを日常使っている人はメルマガへの反応もそこで行うのが最も自然だからであろう。これは暗にメルマガのお勧めをしているようなもので、ソーシャルメディアの時代であるが故に相性のよいメルマガがプロモーションされるという関係だ。
メルマガでも凝ればいろんなものを貼り付けられるのだが、そうなると前述のオーサリング環境とか、素材から制作物までの管理というのにぶちあたる。今メールにPDFを添付で送りつけるようなところもあるが、いずれはEPUBか何かがメルマガ並みに簡単にオーサリングできるようになるのだろう。それまでは情報の発信・受信双方にとって今のモバイル環境にもっともピッタリなのがメルマガということになるのだろう。