投稿日: Jan 11, 2013 4:21:30 AM
生徒のエクスペリエンスが重要と思う方へ
学校教育にデジタル教材を取り入れていくことは、中高生がスマホをもっているくらいだから、今日では経済的な課題は少なくなった。1昨年あたりから教室授業にタブレットを使う試みがされて、いろいろな機会にプロジェクトの報告が行われているが、まだ本当にスタートラインにたどり着いただけのカンジで、教育効果に関するレポートは当分先になるだろう。以前の記事でも学校のITインフラ、先生のITリテラシー、デジタル教材の提供、そして生徒の側の受け入れる気持ちなど、いろんな課題があるので、ある時に義務教育で一斉に始まるという性質のものではなく、以上の条件の揃ったところから徐々に進むのであろう。
ITガジェットの扱いは子供達の方がスキルが高いと思うが、ノートやメモという生徒の側が個別に主体的に取り扱う部分とデジタル教材の関係をどうするのか、というところはまだ経験が足りない。デジタル教材の中の必要部分をCut & Pasteしてメモるのであれば、ノート側をデジタルにしなければならず、生徒がデジタルノートだけでどれだけ学習可能かというのが問題となる。デジタルなら先生に見せるのは簡単になるだろうし、コメントもつけやすいのだろうが、個人管理の場合はもし操作間違いで過去のデータが消えてしまったらどうするのか、など果てしなく疑問が湧くだろう。
しかしそんな議論をしていても始まらない。レポートをワープロで作成するようにタブレットを皆が当たり前に使いこなせるようになるまではノートをデジタルで強制することは難しいだろう。それよりもまずは教室などに設備しておいて、機器も使い方も管理された状態ではじめるのがよい。以前にDTPエキスパートの試験を中国で実施するためのオンライン化の準備をしていたのだが、中国ではカンニングが当たり前で、それも試験官もグルになって行われるというので、One To Oneの問題が出せるようなものを考えていた。受験者がサーバーにログインする方式ならどのようなことも可能になる。この時は実際にはバリアブルプリントの問題用紙で試験は行われた。
試験というともうすぐセンター試験だが、デジタルオーディオ機器の不具合が問題になったり、問題文の配布にてこずったり、過去にはいろいろなトラブルがあったが、ああいった一斉テストこそ、タブレットで出来そうに思う。しかもアメリカの大統領選挙のように瞬時に結果が出る。もし本試験がタブレット化すれば、塾など受験産業のセンター模試もタブレットで行われるようになるだろうし、そもそも学生が集まってこなくても通信教育でもセンター模試が可能になり、日常の簡易確認テストも同じような方式がとられるだろう。こういった皆が共通のエクスペリエンスを経ることが、教育現場でのデジタル・ネット利用を考えやすくするのではないだろうか。
学習のマルチメディア化の取り組みは視聴覚教材の時代からたいへん長いのだが、従来は教える側から発想していたのが、ここにきてやっと生徒のエクスペリエンス側から考える段階にきたといえる。