投稿日: Mar 20, 2013 12:43:54 AM
音楽ビジネスは本当に行き詰まっているのだろうかと思う方へ
昔、西新宿の大久保寄りの地帯のマンションの1室で海賊ビデオを売っているところが沢山あって、欧米のライブとかテレビの音楽番組を録画したものがいろいろ売られていた。そういったところに通って、相当数のVHSを買い込んだ。これらは当然ながら画質や音質が悪いものが多く、何回ダビングを繰り返されたのかわからないので、ダビング数の少ない店と、安くてダビング回数の多い店とがあって、使い分けをしていた。Jimi Hendrix の海賊版に関してはあらん限り買い集めた。それらの一部は今YouTubeで見ることができる。便利になったものである。YouTubeにも音だけのものもあるが、YouTubeはライブの価値を再認識させつつあると思う。
Jimi Hendrix のレコード用音源に関しては父親とか一部音楽事務所が管理していて、情報が整理されたものはBoxSetになって、近年でもまだ新発売されているものがある。これは不思議なことにレコード会社が音源を管理していた時代には正確な把握がされていなかったものが、後の研究者によって制作順序や曲の背景が明らかにされているのである。つまりレコード会社がしていたことは、毎月の新発売のためにLPのパッケージを仕上げていただけで、録音された音楽そのものはテープに入れてしまってあるだけだったということだ。
LPにならなかった過去の楽曲のストックは相当有名な人でも文字どうり「お蔵入り」で、人には知られることはなくなる。それでもイギリスやオランダには泥棒のような海賊版の歴史があって、レコード会社のテープ棚に眠っているはずの音源や、放送用の音源もどこかで発売されてしまうことはあった。
LPやCDという音楽メディア以外に、ビデオカセットやDVDでの音楽も発売されるようになって、ライブや放送も音楽ファンの選択肢になっているが、まだ実際に発売されている種類は非常に少ない。あるアーチストのレコードを買い揃えることは難しくないのだが、そのアーチストの音楽活動そのものに関心が強くてコンサートやライブに行くとなると、急に制約が多くなる。ライブビューイングのような遠隔地配信をして、後にDVDを出そうという動きもあるが、まだその対象は超メジャーな人達に限られている。
今はスマホで映像をみるのが当たり前の時代なのに、ライブ配信などのレコードとライブの間のビジネスが出来ていないというのは大きなギャップであり機会損失なのではないだろうか。
特に冒頭のJimi Hendrix の時代はライブパフォーマンスが発達した時代であって、特にJimi Hendrix はイフェクターを作りながら録音をしていたような独特の音つくりなので、ライブではスピーカーも前でハウリングを起こさせながら弾くとか、レコードではありえないこともしていた。
そもそも黒人向けの小さなクラブではアンプをわざと歪ませるような音の出し方とか、ボリュームを最大にしてフィンガーピッキングで特殊な音の出し方をすることは行われえていたのだが、それを大会場のPAでやってみせたのがJimi Hendrix であった。つまりマルチトラックで録音されてきれいに整形された音楽が唯一絶対のものではなく、同じ曲でもその場その場においていろんな音楽のあり様があり、そういう多様性も楽しめるようにするのが、音楽ビジネスの発展の方向だろうと思う。
殆どのアーチストの作品は「お蔵入り」にしているだけのレコード会社と一部の著作権管理団によって、ライブ音源のビジネス化が邪魔をされないように願う。
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