投稿日: May 08, 2010 6:11:35 AM
電子書籍への期待感は本物か?と思う方へ
日本でもiPadの発売を目前に控えて、ほぼ根拠無く電子書籍が読みたいなあという発言が目立ってきている。本が必要なら本屋に行け、といいたいが、電子書籍を待ち構えるワクワク感に浸っているのだろう。そっとしておこう。この日本の状況とアメリカで電子書籍がブレイクしかかっていることのギャップは大きい。
まだ日本に電子書籍の衝撃というのは走っていない。ケータイコミックや小説でも紙の出版の世界から比べれば微々たるものである。そんな状態なのに電子書籍のことを書いた本が売れるという「紙の書籍の衝撃」を目の当たりにしている。アメリカはKindleの対象は漫画ではなく堅い本であって、毎週何冊もそういう本を読まなければならない学生にとってみると、バックパックに重い本を入れて移動するよりもKindleの方がよいだろうな、ということはわかる。Kindleが読者のアンダーライン部分を読者間で共有できるようなことを考える(参考:http://yfrog.com/16evvqj http://bit.ly/3JMc69)のも、市場との関係である。
またアメリカでは出遅れていたスマートフォンが動き出して、iPhone、iPadで全面開花したタイミングでeBookというわかりやすいエントリ用アプリがまずダウンロードされるというのが現状である。ベンチャー企業としてはGPS応用で話題のFoursquareのアプリの利用は1日1回くらい触るユーザが8割がたというアンケートがあったが、それに比べてもeBookはかなりの時間を占めるアプリとなる。(iPadアプリとしては実際はゲームが最も多いだろうが、iPad購買の動機としてはeBookが使えるからさ、と自分自身に言って聞かせる効果もあるだろう。)
さらにアメリカではクラウド向けの開発が盛んで、GoogleAppsを採用する大学が4月には新規に30校くらいあって、学生数で総計800万人をカバーするようになったという。GoogleがeBookに乗り出す理由もわかる。つまりeBookと読書端末とサービスとしてのクラウドは、お互いかみ合って前に進もうとしているのがアメリカである。
ではこれが日本にあてはまるだろうか?長期的には似たことになろう。日本でもGoogleAppsを採用する大学が数校あるようである。EPUBの日本語仕様でコンテンツが用意されよとしているが、Kindleはまだである。決定的に足りないのは読書でも教材でも本を廉価簡便に扱えるようにするクラウド型のサービスである。某電×協はコンテンツを出すの出さないのといっているが、そんなことは関係ない。コンテンツの供給者は十分出てくるであろう。日本の出版界のアキレス腱はeBusinessだ。