投稿日: May 15, 2011 10:16:9 PM
デジタルメディアの明日を考える方へ
タブレットPCも電子書籍端末も10年ほど前から存在したものの、近年のiPadやKindleになってブレイクしたのは、無線でネットワークにつながるようになったからである。携帯電話のガラケーも無線のデバイスにいろんな機能を付加してきて、着メロ・着歌からシャープの電子書籍まで新しい利用方法を開発してきたものの、携帯電話キャリアそれぞれ自社のアプリとしてサービスしていたために、携帯電話とインターネットの垣根が低くなってくると、携帯電話からインターネットへビジネスの戦場を移すことができずに、インターネット上での汎用的なビジネスの考え方をするiPhone・iPadやKindleからは押される一方となった。
今後は日本のガラケーもスマホ化して、インターネットと共存するデバイスになるといわれているが、ガラケーで特化したアプリをインターネット上に展開するのは容易でないところもあろう。すでにガラケーのクソゲーはWebでのソーシャルアプリ化の道を行っていてスマホ対応も始めているのであろうが、ゲームそのものよりもソーシャルアプリとして、またスマホのユーザインタフェースをを活かすという点では、再開発はそれほど楽ではないかもしれない。日本のガラケーといわれる開発の方向は問題があったのだろうが、タブレットやスマホの時代はまだこれからであって、日本のチャレンジャーに可能性が残されていないわけではない。今までの場当たり的で楽観的な攻め方に大きな問題があったと思う。
そもそも無線デバイスが躍進したことを振り返って今後のIT利用を想像できるようになることが最初に必要なことだ。せっかくガラケーで世界に先行していたのに、またタブレットも電子書籍端末の開発力はあったのに、両者を結びつけて考えられなかったという点でアメリカに負けていたことを肝に銘じるべきだ。アメリカはApple、Amazon、Googleとお互いににらみ合うところもある企業同士ではあるが、データセンタ建設・クラウド化・無線通信などの基本的な技術戦略は共通したものがあり、サービスの仕方や経済化に関しては独自の考え方を強く出している。
ニュースとして賑わうのは、アプリやサービスなど各企業の独自の点で、どうしてもそれを評価したり真似したりしがちだが、無線のインフラがどのように変化してきたか、今はどこに向かっているのかなどは退屈な話なので企画にかかわる人はスルーしがちである。しかし利用者のユビキタス環境がどうなるのかはアプリやサービス開発の根幹になる話である。インフラ屋さんの事業計画の話ではなく、それらを踏まえたメディアビジネス側の人たちのための共通な技術戦略を話し合う場が日本には欠けていて、Apple、Amazon、Googleなどのデータセンタ・クラウド・無線対応などが統一感を持っているのに比べて、日本は各社バラバラでお互いに消耗しあっているようになってるような懸念がある。