投稿日: Sep 02, 2010 10:52:47 PM
広告は先行投資に値しないのかと思う方へ
広告表現をつくることと広告ビジネスというのは乖離していったと思える。この1年以内のことだが、NTT何々というところと雑誌広告の話をして、先方はPaidPubに興味をもって話は進んだが、雑誌広告の名目ではお金が出せないので、掲載号を広告金額分買い取ってもらって、その分をターゲットとなりそうな人に無料で配ることになった。要するに営業活動は必要で、そのためには事例などの記事掲載は欲しいのだが、そもそもすでに雑誌広告というものが見捨てられていた。この場合は紙媒体なのでモノを購入してもらうという手がとれたが、Webの広告ではどうしたらよいのだろうか。Webも従来のような「広告ビジネス」は通用しなくなりつつある。
近年雑誌の凋落は目に見えていたので、発行している雑誌の広告はPaidPubを中心に切り替えて、その付き合いでオマケで意匠広告がでるような状況だった。前の職場はPaidPubの企画力があったのでそうなったのだが、広告表現だけで広告ビジネスはできない。クライアントに知恵を貸す要素が大きくなってきた。しかしいくらそうしても紙媒体の購読そのものが減っていて、部数を考えると広告価値は減り続ける。そこで抜き刷りを活用するモデルにしてきた。これも抜き刷りをどこでどう配るかというところが勝負であり、金が回るのは結局は販促の手伝いである。雑誌はコントロールドサーキュレーションでソーシャルなところを強調したものに行きつつある。
以上のような工夫を今度はWebで行うべき時である。雑誌広告のように継続取引の中でビジネスモデルを変える交渉をしていくのと比べて、新規の案件ではどこからアプローチをするかが問題である。あるサイトにスポンサーをつけなければならないのだが、「広告出してくれ」では門前払いになる。クライアントの社内にそれを必要とする人たちが居なければならない。そこからアプローチするのは時間がかかり、しかも従来の広告とは全く別の貢献を入り口にしなければならない。しかし知恵を貸す商売としては、意匠広告でもPaidPubでも調査でも販促でも会員登録でもなんでも同じで、「知恵を貸す」というところに信用を得ている必要があるし、信用があれば何とか進む。
数年前と今とでは広告に対する信頼感は大きく変わった気がする。むしろもともとそれほどは信用されていなかったのだけれども、経済的に容認されていたというのが実情ではないか。記事「取り残された広告メディア」では、広告ビジネスのアプローチとしてA/L・B/Lの区別をしたい人とeBusiness系の人がいるようなことを書いた。これは両面で進むものの、Web化ケータイ化の中ではアフィリエイとやクーポンのようにB/LとeBusiness(EC)が結びついて進み、A/Lが取り残されてしまいビジネスに先行して予算がつくことが減る傾向だ。だからA/Lこそ意識を変え、新たな取り組みをして信用を回復しなければならないのだと思う。(後日補足の予定)