投稿日: Apr 13, 2013 1:24:52 AM
コンテンツでどれだけ稼げるかと思う方へ
私が小学校の6年になった時に、爺さんが間違えて中学の入学祝としてトランジスタラジオを買ってくれた。それで夜はずっと音楽番組を聴いていて、音楽が途絶えた時には聞き辛いFENも聴いていた。当時のアメリカのヒットパレードの半数は黒人であった。音楽を聴いている時点では白人か黒人かはわからないのだが、後に次第に判明したことである。そんな時期だから黒人音楽が身近に感じられて、後に日本でもロックが沢山売られる時代になっても、ロックはそこそこに過去の黒人の音楽シーンがどんなものであったのかを辿るような聴き方になった。
今日ではロック音楽史はネットにも多くの情報があるし、それが戦後の音楽産業の中で大きな位置を占めていることも認識されている。それらを振り返っても今の音楽産業と言うCDを作って売る商売が今後もやっていけるとは思えないのである。
20世紀に登場したレコードとかラジオが音楽を産業化したわけだが、その内実は一部の巨大ビジネスを産み出したものの、昔ながらの細々とした街の音楽ビジネスが営々と続いている。日本では音楽ライブをするというのは特別の店と言う感じがあるが、欧米ではもっと敷居の低い(料金的にも)普通のtavernでもやっていたりする。しかも記事『メディアで伝わらないライブのgroove感 』のように石垣島の酒場規模であったりする。
やはりこれが大衆的音楽活動の基盤だろうと思うわけで、日々営まれるそれらの中からたまたまヒットも生まれるという性質のものである。これと対極なのがレコード会社が中心となって音楽家を集めて新曲のマーケティングをする世界があって、それを日本では音楽産業と思い込んでしまっている。
私が子供の頃に聴いていたヒットソングのうち黒人のものは殆どがインディーズで、それは戦後に生まれた会社であった。つまり大手音楽産業よりもインディーズが先駆けて黒人R&Bや黒人ロックを採り上げていたところ、それらから多くのヒットが生まれるように変わったのである。その黒人R&Bや黒人ロックはラジオに乗ることで、以前は黒人時しか売れなかったものが全米で、さらには世界的に売れるように変わった時代だった。
ではなぜラジオで黒人音楽がどんどん流れるようになったかと言うと、メディアの主流がラジオからTVに変わったために、ラジオの世界がサブカル化して、社会的にメジャーでない音楽を多く扱うようになるとか、音楽のかけ方の工夫があったからである。かけ方の変化ではDJが登場するとか、トップヒット(分野別ヒットチャート)をとりあげるなど、私の少年時代の日本のラジオ音楽番組の原型が戦後のアメリカに登場した。そこで黒人のロックなビートを多くかけるDJが人気を博すとか、それまでは白人リスナーの抗議があるためにあまり黒人音楽がかけられなかったラジオも、R&Bヒットチャートを反映させた番組では人気黒人音楽の紹介ができるようになった。
結局黒人音楽でもヒットする曲はごく一部に過ぎないが、それをピラミッドの頂点として、白人のロックと同じくらいの数の黒人音楽レコードが録音されるようになった。それらのレコードは数千~数万の数しか出ないのだけれども音楽家の生活の足しにはなった。これくらいが身の丈のあったビジネスなのであろう。日本でも脱大手音楽産業を目指すならば、それくらいの規模感だと思うし、そうなるためにもやはりインディーズを対象にしたDJとか分野別ヒットチャートのような紹介の仕方が必要になるだろう。
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