投稿日: Oct 05, 2012 5:27:30 AM
自分のビジネスとして考える方へ
いまだに「今年こそ元年」とか「結局来年が元年」という話題が電子書籍界隈では繰り返されている。緊デジにしてもKoboにしても、おしゃべりネタとなるニュースはいろいろあるのだが、よく考えてみればKoboかKindleかという話は紙の本では日販かトーハンかといっているのと同じようなもので、ニュースねたが上滑りをしていて、これらのニュースを自分のビジネスに結びつけて考えてはいない状態である。テレビでもいよいよ電子書籍時代という取材が時々みられるが、やはりAmazonが…というニュースと、巷で一人でやっているような非常に小さなeBookを並べてトレンドとして一くくりにしている。こんなニュースなら10年前でも20年前でも似たものはあったのである。
ではeBookに関して何も変わり映えがしないのかというと、やはり自力で着実に自分のビジネス基盤を広げつつある動きもたくさんある。音声を録音できるiPhone/iPad/Android向けの紙芝居風絵本アプリ「こえほん」や、IT分野の技術書をプログラマーや技術ライターがデジタルファーストで自ら出版できるようにした達人出版会、また大手のメディアと組んでネットの住民との橋渡しをするニコニコ静画など、コンテンツとターゲットを明確にしてビジネスの道筋をつけたところもいろいろある。このようなニッチな世界はユーザのプロファイルがつかみやすいからeBook化が先行したのだと考えられる。
ケータイコミックのビジネスがスマホに横滑りできないのは、ケータイでのビジネスは通信キャリアが提供するビジネス基盤の上に成り立っていたので、スマホやオープンなネット環境ではビジネスの道筋を見出すのに苦労している姿だと思える。こういった対象が広い出版物においても、マーケティングの手がかりを得られればeBookのビジネス化は考えやすくなるだろう。紙の出版に比べてeBookのビジネスは安直な面もあるが、逆にリスクが高くなっているのは販売のタイミングが重要になり、フレキシブルなプロモーションを必要とする点である。つまりeBookは短期間に企画制作が可能であると同時に、流通も瞬発的な力が求められる。
これらをすべて出版社で用意することは難しく、ニコニコのように既にネット上で動いているコンテンツビジネスと連動するとか、ソーシャルメディアをうまく利用するとか、ITによって利用者像をつかみながら、利用者とコミュニケーションしつつ、出版のマーケティングやプロモーションをすることが始まっている。そのために従来の日本の出版がどんなところを踏まえて行われてきたのか、欧米ではどうだったのか、また今アメリカの電子書籍が全体売上げの3割になろうとしているときに、どんなマーケティングの変化があるのか、などを検討し、近未来のビジネスプラン作りのヒントにするために、電子出版再構築研究会 第1期第2回は「新しい出版マーケティングの時代」をテーマに10月17日に開催します。
電子出版再構築研究会 名称:オープン・パブリッシング・フォーラム Ebook2.0 Forumと共同開催
10月17日(水)16:00-18:00 新しい出版マーケティングの時代