投稿日: Dec 09, 2014 1:16:4 AM
ドワンゴの川上会長に子供ができて、保育園に入るにはたいへんな待ち行列があることに気づき、社内に保育園をつくることにしたという。これで社員でも子供つくりをする気になる人がいるという。職場に保育園が併設されるのは結構なことである。遠くから通勤している人にとっては利用しにくいかもしれないが、職住接近だと理想的な形といえるだろう。
反対に最近は住宅地の駅ビルに保育をするところを作るというのもある。駅ビルにお医者さんが入っているのと似たような考え方だ。これらはいずれもサービス提供という点でモノゴトを考えていけば、至極当然の結果といえるだろう。
ではなぜ一般の保育園には長い待ち行列ができてしまうのか?直接的には保育園の経営が苦しくて、保育士を低賃金で雇わざるを得ず、保育士が集まらないからだろう。保育園の経営が苦しい理由というのは、保育の費用をどれだけとれるかということと関連していて、親御さんの負担と自分たちの負担のせめぎ合いで経営の舵取りをしている。だからこれ以上のサービスを期待することもなかなか難しい。これらは実は多くのソーシャルサービスに共通する問題なので、ドワンゴの会長もこの際そこら辺まで立ち入ってもらいたいと思う。
例えばソーシャルサービスをするところを応援するにしても、今は補助金とかを申請して受け取るという形が主だろうが、このやり方は介護分野に怪しい業者もいるように、補助金目当てでロクなサービスもしていない人が参入してしまう。保育の場合は変な人がやらないようにコンプライアンスを厳しくするようになってきて、かえって経営を圧迫していたり、サービスの低下になったりする。保育園のようなところは経営規模が小さいので、あまりにも経営に負担がかかるとやり手が減ってしまうから、経営環境の改善が課題だろう。
つまり日本の人口問題を考えるならば、個別の事業所に対する直接の補助金などだけでなく、立地とか、医師・医院との連携とか、保育士の臨時派遣や教育・指導とか、入園希望者の紹介とか、地域社会での総合的な経営支援が必要になっていると思う。特に立地は冒頭の駅ビルや都心の公園などに公的に用意しておくのが望ましいし、自治体で若い世帯を増やしたいところがあるのなら、保育園や幼稚園の総合支援体制によって安くて質の良いサービスが受けられる地域というブランドを目指すのもいいだろう。
多くのソーシャルサービスは孤軍奮闘しているのが現状なので、個別の対応や補助金や対応策から抜け出して、もうひと回りスケールの大きい、いろいろな運営体のソーシャルな連携を考えるべきだ。
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