投稿日: Jun 06, 2014 1:8:14 AM
ずっと言われてきたことだが、なぜこれが食い止められないのか。それは日本人が年齢や性別に関係なく保守化しているからだろう。私の子供の世代になると1学年の人数は半分くらいになっているので、早晩に日本の労働人口が半減してしまって、生産力も売り上げも何もかも急に落ち込む時期がくるように思える。そういったシミュレーションはあちらこちらから出ていて、子供を産めとか、子育て支援とか、移民の受け入れとかの施策がいつも叫ばれる。しかしこういった施策は過去からも何度も行われてきたのに、全然効果がないことを、まず反省しなければならない。
昔は農家にヨメの来てが無くて、フィリピンの女性と集団合コンをしたような農村もいっぱいあった。中国の若い女性を研修生としていっぱい受け入れたこともあった。日系ブラジル人など二重国籍の人を労働者として大量に呼んだこともあった。しかし日本の地域社会は必ずしも移民の受け入れがスムースには行われていない。
私の住んでいるところも、記事『日本にも開かれた都市を』にあるように、子供の小学校の時にはクラスに何人もの外国人とのハーフの子供たちがいたのだが、それらの家庭は日本人男性がアジアで仕事をする機会が増えたから、現地で結婚して日本に連れ帰って家庭をもったのであって、移民ではなかった。
実はバブルの頃からはブラジル系の人たちも小学校に通っていたのだが、次第にいなくなった。大人の人は日本語がうまく話せないでブラジルに帰った人もいる。その子供たちも日本人の中高生が受験戦争に入っていく段階で日本社会とはかけ離れていかざるを得なかった。つまり外国から来た子供たちで日本の高等教育制度に入っていけるのは、それなりの収入のある中国人やインド人に限られてしまう。
だから日本のやってきた外国人労働者の子弟の殆どは、日本では落ちこぼれのような生活になってしまって、日本の社会には溶け込めない。実はこれは外人だけの問題ではなく、日本人の中でも社会に歪をもたらす大きな要因であった。つまり日本のような学歴指向でシステム化した教育が排外主義的な状況を作り出していて、日本人の持つ可能性を活かせてこなかったことでもある。
日本の労働人口が足りないからということで移民を入れても、日本に来た外国人が能力を開花させて日本で幸せに暮らせて、日本の社会に貢献するようにならないと、移民は排外主義という反作用を強めるだけになってしまうだろう。そもそも日本の少子化の原因の一つは子育てにおける教育負担に耐えられないというところにある。今となってはあまり意味のない「狭き門」が一部のエリート層だけの問題ではなく、中産階級全般にわたって学歴指向がはびこって教育が保守化してしまった。
ここでいう保守化とは中産階級が今享受している居心地の良さこそが最大の価値であって、それは「社会はこうあるべき」という総論よりも優先されるという自己中心的な姿勢であり、そういう人が多くなると社会が衰退するのは当然だろうと思う。これは排外主義のもたらすものでもある。