投稿日: Jan 04, 2011 11:33:35 PM
5年先など闇と思う方へ
年末年始に明るい話題でもtweetされるかと思ったが、グルーポンおせちが盛り上がったりで、ネットでもこういった話題しか吸い上げられないのでは、このメンタリティで新しいビジネスを起こすのは大変だなと感じた。一方、青空文庫のサイトが「そらもよう 2011年01月01日 新しい人へ」としてはじめて青空文庫を訪れる人に紹介文を出していたのが印象に残った。1997年から年平均では740ほど作品が追加されて1万点近くになった。今年作家の死後50年で公開できる作家を紹介している。青空文庫には著作権者が自ら望んで公開した保護期間内の作品も登録されている。今の自炊からすると1万点は大したことがないようだが、校正の問題や過去13年の間にいろんな読書フォーマットに対応してきた経験などからくるノウハウがあることをうかがわせるものである。
実は青空文庫には低額有料化の方法もあり得ると思うのだが、単に金儲けをするのではなく、課金することでどのようによい方向に進展ができるのかという未来図が必要であり、それは事業者本人が考えるべきもので、押し売りはできない。こういった事業に好循環をもたらす計画作りには、それなりの知識と考察力が必要となり、何らかのコンテンツを持っているとかアイディアがあるというだけでは人に納得してもらえる計画にはなり得ない。今は小さなメディア事業をしている人でも、自分の考えをうまくプレゼンテーションできると、いろいろな協力者が得られて、協調的に事業を発展させられるのではないだろうか。
すでに自分のやりたい最終目標が決まっている場合は、そのことをとりまく技術や社会的環境の知識が必要であり、またそれらがこれからどのように変化しつつあるのか、それらの要素の関連・変化の速度、それらを変化させる別の要素、などを勘案して自分を取り巻く少し大きな未来図と、自分のテーマの未来図を描くことになる。またそれをどのようなビジネスモデルにしていくか、組織・マネジメントの方法がこれからどうなろうとしているか、マーケッティングがどのように変わりつつあるか、などを総合すれば事業ビジョンとか、中長期の事業計画になる。
記事『小さくても力持ち』ではWikipediaが専従6人で運営されていることを書いたが、デジタルメディアでは世界的なサービスをするにしても、従来組織のような運営は不要で、大切なのはコンセプトであり、コンセプトがぶれなければ、あとは柔軟な頭で構築と舵取りをすることで伸ばすことができるだおろう。冒頭の青空文庫はコンセプトは出来上がっているので、うまくすると寄付や一部有料化でもっと社会的に活躍するものになりそうだ。だから前述の未来図を描く頭のトレーニングとして考えてもいいかもしれない。
まずビジネスモデル、組織・マネジメント、マーケティングは置いておいて、今の技術革新のテンポで5年10年先にどんな未来図になるかを考えるのは、次の4つほどのステップを踏めばよいのではないか?
1.情報サービスの分解 今のサービスの様式の奥にある本質をつかみ出す。(ステレオ装置→音楽配信)
2.トレンド 上記に関連した潮流は何か、それらの成長曲線を把握する。
3.駆動力 トレンドを動かす力として開発力や投資力、社会的要請をとらえる。
4.価値創造 それらをどう組み立てると変革が効率的に起こるか、何が生じるか、が未来図となる。
つまりこれらは、メディアの設計思想化(メディアのアーキテクチャ)である。自分の頭のトレーニングとして行うのもよいし、また集合でワークショップのような形でおこなうこともできるだろう。