投稿日: Jun 24, 2011 11:29:48 PM
facebookをどう位置づけるか悩んでいる方へ
この半年くらい、日本でもやっとfacebookの友達リクエストが増えてきて、そろそろブレイクかといわれだした。現在のアクティブユーザは300何十万になったが、これは台湾の3分の1程度で、まだまだ世界的に見ると日本はfacebook後進国であるが、それはmixiががんばっているとか、ゲームに関してはグリーやモバゲーが先行していたことが、facebookの立ち上がりを遅くしているのだろう。6月24日にfacebookのアプリ開発者から『Facebookアプリ制作の現状を学び、今後の可能性を探る』セミナーを行った(スライドショーあり)。その中でガラパゴス中平健太氏は、2つの点でユニークな取り組みを紹介した。
先にプレゼンしたサムライワークス矢追龍之介氏はfacebook上陸以前からアプリ制作で活躍されていたので、それらとfacebookの対比の話が中心であったが、中平氏は日本のfacebookユーザ数では、まだトップの企業群でも10万オーダーのアカウントしかない状況なので、有効な役割を果たすところまでいっていないことと、facebookで成功している企業は既存のブランドではないところもあるので、facebookにおけるコミュニケーションの質をよく考えた造りを独自に開発していて、販促プロセスのAIDMAやAISASにfacebookのLikeを割り込ませたようなモデルを紹介した。それにあわせた試みとして、東南アジア向けのデジタルグルメマガジンや若い女の子向けのJELLYの東南アジア向けという、facebookをメディア化した英語のものを作っている。
中平氏はGAPに比べてアバクロの方がfacebookアカウントを3倍ほど集めている理由として、写真の投稿が4倍ほど多く、その写真の「いいね」数は8倍あることから、良質の写真をupすることの意味と、それを誰かに教えたいという「モチベーション」、それが簡単にできる「アビリティ」、というのがバイラルを起こすとみている。そこでfacebookの見栄えをWebマガジンのようにしながら、「いいね」をたくさん起こせるような工夫をページの中に仕掛けている。そのためにfacebookにもとからある「いいね」ではなく、WebのCMSのように作りこんでいる。
当面はfacebook利用者の多い東南アジア向けにすることで、日本のトップ企業ページくらいのアカウントは1年で稼げるだろとみていて、そこでノウハウをためて日本でのfacebook本格化に備える。facebookのメディア化は、記事『facebookがメディアになる日』でも触れているが、ソーシャルテクノロジーの情報シェアによるコミュニケーションが今は3つのスタイルに集約されつつあることを感じる。つまり avのYouTube textのtwitter photoのfacebook である。このように見ると企業のfacebookアプリの視覚性は重要に思える。
またこういったメディアの使われ方の分析と改善というPDCAをまわしながら目標に向かっていく姿は、さすがにエンジニア集団の会社だなと思わされた。紙のメディアのように編集・制作・ツールというのが完全な分業になっている場合には、トータルにPDCAがまわしにくいのに対して、デジタルメディアは本当にPDCAが回せるものになってきたと思える。このことは出版系の人はあまり気にしないかもしれないが、かつては印刷会社と2人3脚でメディアを作っていたように、今後デジタルメディアではエンジニアとの付き合いも重要になる。