投稿日: Sep 16, 2015 1:9:55 AM
本屋でふと気づいたらアナログレコード入門のMOOKが10冊ほど並んでいた。今までアナログレコード関連の雑誌というと、基地外な値段のグッズを並べたシニアオーディオ誌しか思い浮かばなかったのが、まあ普通の人が対象の内容になっている。つまり音楽とはすっかりかけ離れてしまった余計な薀蓄がテンコモリな記事ではなく、家電のお買いものガイドブックに近い感じである。レコードプレーヤーとかが再び売れ出しているということか?
アナログレコードの音源が細々と制作され続けているとはいえ、それがヒットになるわけもないだろうと思うが、昔買いたかったLPがリサイクル屋などに格安で積まれていると、もったいないなあという気がして、「インテリアにもなるなあ」とかで思わず買ってしまったこともある。
これは社会のストックとしてメディアが存在していることであって、古本や書画骨董と同じくずっと社会を巡り続けるものとレコードがなったということだろう。
実は欧米は過去から一貫してずっとそういう状態だったので、アナログレコードの機器や針が手に入らないような状態になったことはなかった。日本では一度は入手不可能になったものが復活したことになる。とはいっても時代はデジタルなので、昔は大げさなスピーカーを狭い部屋に設置したりしていたが、今はイヤフォンでも結構きれいに聞えるから、過去のオーディオファンのような楽しみ方になるとは限らず、むしろオーディオ界が過去の呪縛から脱皮できる機会になるのではないかと思っている。
雑誌の中では、アナログレコードのナマ音を聞こうというような記事もあるが、それよりも適切にデジタルで補正された音の方が聴きやすく、アナログの足りない所・弱い所をデジタルで補うようなことになるのではないか。特に古い録音とかマイナーなレコードは録音時点で機器や設定面のいろいろな欠陥を備えているので、そういうレコードにある音源がうまくデジタル処理をすると蘇る。録音機材にハムノイズが乗っていたり、どこか接触不良があってチリチリノイズがあったり、テープレコーダーのモーター音があっても、デジタル処理で取り除けるからである。
これは昔の白黒フィルム映画をデジタルでキャプチャーしてノイズ取りをするのと似たようなことで、人の手を加えているとはいっても、オリジナルのコンテンツに近づける作業であるから、それよりもキズついたナマメディアの方がよいという人はあまりいないと思う。しかしレコードの場合は不思議なことに、ノイズがあってもアナログの音の方が素晴らしいという人は居そうだ。